全部 みんなのためだったんだ

ごめんね ページ33

『お願いします』


放課後。部活


体育館に入った途端、賑やかだったのが嘘のように静まり、みんなの冷たい視線が刺さる


国見「...どうも」


国見くんだけは、挨拶してくれる


『く、国見くん、』


国見「...はい？」


離すって言ったってどうするの？


さっきは、繋がれた手を離した


それだけでは意味は無い


『...ごめんね、なんでもない』


やり方が分からない


直接は絶対効果ない


分かりやすいもの。効果が大きいもの


どうすれば...「せ、ん、ぱ、い」


『！』


水樹「悩んでるみたいですねぇ


国見を離すんですか〜？本当、分かりやすい」


『...』


私って、そんなに分かりやすい？


それとも...緋奈の思い通りに動いてるだけ？


水樹「いいですよ？協力してあげる」


『...お願い、します』


断ってはいけない


これは、誘導なんだ


万が一、私が国見くんを離すのを諦めた時


国見くんを離す気がなくなった時


緋奈ちゃんが関わることで、やめることは出来なくなる


水樹「じゃあ、楽しみにまっててくださーい！」


『...』


国見「...あの、先輩」


『国見...くん、』


国見「...俺、何かしました？」


『...ううん。何も』


国見「.......合宿


俺が...守ります


あいつの好きにはさせない」


『うん...ありがとう』


嬉しいよ？嬉しいけど...国見くんの思う通りにはならない


国見くん ごめんね


けど、諦めたりはしないから


みんなの為


私が我慢すれば
私が犠牲になれば
私が悪者になれば


みんな幸せ



それでいいの。

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