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『あっ、これやりたいです』
先陣を切ってAが向かったのは、全長三十センチ程のクマのぬいぐるみが置かれたクレーンゲーム台だった。クマの首には、小さな鈴が括り付けられているのが特徴的だ。
一回分の料金を投入したAは、自ら操作を始めるでもなく、何故か操作ボタン前から左にズレる。
『真島さん、あのクマ取って下さい』
「はぁ？なんで俺が取らなあかんねん。自分で取りや」
突然クレーンゲームの主導権を渡された真島は当然驚く。こういったゲームは、自分で景品を獲得する事が楽しいのではないだろうか。
『私クレーンゲーム苦手なんです。それに、真島さんこういうの得意でしょ？』
「苦手やないけど……ちゅうか、なんで俺がクレーンゲーム得意な事知ってんねん」
『一応情報屋なので』
『真島さんお願いします』と子犬のような目で見上げるAに、真島は一つ溜息を吐きながら操作ボタンに手をかけた。
慣れた手つきでボタンを押していく真島。
クレーンゲームをやり込んでいる訳ではない為セオリーはわからないが、自分の感覚に従いアームを動かしていく。
その様子を、ガラスに顔を近づけながら爛々と目を輝かせてAは眺めた。
「ほれ、取れたで」
お目当てのクマは見事一発で景品落とし口へ。それを拾い上げ、Aへと手渡した。
差し出されたAはクマと目を合わせ、そして、喜びを噛み締めながら強く抱きしめる。
『真島さん、ありがとうございます』
真島にお礼を言うその顔には、控えめだが笑顔が浮かべられていた。
「ヒヒッ全然ええで。そのクマの分、お前にはしっかりと働いて貰うからのぉ」
嬉しそうなAに、真島も悪い気はしない。
クマ一つでこんなに喜んで貰えるなら、取った甲斐があったというものだ。
真島はAの笑顔を眺めながら、満足感に加え何か違和感を感じ取っていた。
例えるなら、それは既視感。出会ってからAの笑顔を見たのは初めての筈なのに、その顔にはどうも見覚えがあった。
真島は暫く記憶を遡ってみるが、どうにも思い出せない。
(ま、ええか……)
これ以上考えても時間の無駄。そう判断した真島は、考える事を放棄した。
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雲雀(プロフ) - エコノハァーさん» コメントありがとうございます！手違いでオリジナルタグを付けてしまっていたようです……教えて頂きありがとうございました！ (2021年2月12日 23時) (
レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
エコノハァー(プロフ) - 新作おめでとうございます！応援してます！あと、オリジナルタグ付いております(気づいていましたらすみません！) (2021年2月12日 23時) (レス) id: 0f751f239f (このIDを非表示/違反報告)
雲雀(プロフ) - レイナさん» わ〜い！ありがとうございます〜！よろしくお願いします！ (2021年2月12日 23時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
レイナ(プロフ) - 新作おめでとうございます!これからどうなるか楽しみですｯ! (2021年2月12日 23時) (レス) id: 62f57f1f40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雲雀 | 作成日時：2021年2月12日 21時
