【龍が如く】狂犬の素顔【真島吾朗短編】

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『最近、体を触ってくるお客様がいて……』





「……その話、ほんまか？」





『はい……常連の方だし、少し触られたぐらいだから我慢しなきゃって思ってたんですけど……それからちょっと、お客様の事が怖くなっちゃったんですよね』





Aは笑顔を作ってみせるが、無理をしているのは明白だ。


真島は彼女に恐怖を与えた客に苛つきを覚え、眉間の皺をより一層深くする。





「いや、Aちゃんが我慢する必要あらへん。それに、体触られとったんに気づかんかった俺にも責任がある。ほんまに、すまんかった」





『……！そんな……支配人のせいじゃないです……！！！』





机につきそうな程深々と頭を下げる真島に、Aは申し訳なさでいっぱいになる。


しかし、支配人としてキャスト一人守る事が出来なかった事実に、真島は謝っても謝りきれなかった。


例えそれが、望んで請け負った訳でも無い支配人の役目だとしても、だ。





「俺は……Aちゃんにくだらん客が理由で店やめて欲しくないんや。好きな仕事なら、尚更な」





真島は好きな仕事をするAが羨ましくもあり、応援したくもあった。


それは、やりたくもない仕事をする大変さを自分が一番よく分かっていたからだ。





"目の前の彼女に嫌な思いをさせたくない"





そんな思いが、真島の口調を強いものにさせた。

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