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シャワーを手短に済ませた真島は、ろくに乾かしていない髪とスウェット姿で寝室のドアを開けた。
ベッドに寝転ぶAは、こちらに背を向け携帯を弄っているようで、真島が入ったことには気づいていない。
それをいい事に、真島は気配を消してAに近づく。
一歩また一歩と、音がならないように慎重に足を踏み出していった。
ベッドの手前まで来たところで、真島はAの手元から携帯を取り上げた。
何が起こったのかと固まる一瞬の隙をついて、Aを仰向けに寝かせその上に馬乗りになる。
『……何してるんですか』
「何って、この体勢でやることと言ったら一つしかないやろ」
『明日も仕事なんですよ?今日は早く寝ましょうよ』
Aは乗り気では無い表情を見せるが、それでも真島に引く気はなかった。
「俺は今腹立ってんねん。せやから、このまま寝る訳にはいかへん」
『……?何に腹立ててるんです……?』
「お前が西田に好かれてることに対してや。あいつだけやない。他の組員もお前のこと狙っとる。」
真島の怒りの矛先は、明確に言えば西田を含めた組員達だ。
しかし、それにしてもAには隙が多すぎる。
「お前は俺のものやぞ」とわからせる為にも、真島はAと体を重ねたかった。
そんな真島の心境を知ってか知らずか、Aは無邪気ともいえる笑みを浮かべる。
『つまり、真島さんは嫉妬して怒ってるって事ですか?』
愛されていることを自覚したAの台詞は、真島にとってかなり憎たらしいものだった。
しかし、Aの言ったことは紛れもない事実。
人を煽るような笑みや言葉も含めて真島はAを好きなのだから、またもや反論することはできない。
"惚れた弱み"とは、まさにこの事だろう。
「……うっさいわ」
これ以上Aが優位に立つことが癪だった真島は、口を塞ぐように唇を押し当てた。
口では勝てなくても、物理的な力であればAに負けることは無い。
多少強引にでも、真島のペースへと持ち込んでいく。
舌を絡ませ長時間キスをすれば、簡単にAの顔は惚けた。
非力な小娘に"狂犬"が勝てるのは、ベッドの上だけであった_____
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なぬ - 面白い (2022年3月29日 16時) (レス) id: 9f70a28778 (このIDを非表示/違反報告)
kokurou6(プロフ) - Twitterフォローさせていただきました。よろしければ承認お願いします。 (2021年2月7日 16時) (レス) id: f57eb3d90a (このIDを非表示/違反報告)
★レイナ☆(プロフ) - ツイッターフォロー申請させて頂きました! (2021年2月4日 11時) (レス) id: 62f57f1f40 (このIDを非表示/違反報告)
エコノハァー(プロフ) - 雲雀さん» はい、やべぇ所の作者です…。ハチャメチャな作品を読んでいただいて光栄です!ありがとうございますっ!(土下座) (2021年1月23日 13時) (レス) id: 0f751f239f (このIDを非表示/違反報告)
雲雀(プロフ) - エコノハァーさん» コメントありがとうございます〜!嬉しいです〜!あの、もしかして、「就職した先はやべぇ所でした」の作者様でいらっしゃいますか……?私もエコノハァーさんの作品楽しく読ませていただいております!! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雲雀 | 作成日時:2020年12月27日 14時