隙間 ページ2
その日は、ジッとしていても汗が噴き出るような暑い夏の日だった。
引っ越し祝い、と銘打って会社の同僚数人とお酒を飲んでいた。
A「あ、私そろそろ帰らなきゃ！終電がなくなっちゃう。」
同僚「え？もうですか？」
ユリ「Aは今、田舎に住んでるからね。」
A「い・ち・お・う！住所はソウル市郊外です〜」
並々と注がれていた焼酎のグラスを一気に飲み干して、屋台のおばさんに声を掛ける。
ユリ「今日は引っ越し祝いなんだから、お金はいいって。」
A「でも・・・」
ユリ「じゃあさ、来週は高級フレンチ行こうよ。
Aのおごりで・・」
A「ごちそうさまーー！笑」
ユリのけらけら笑う声をわざと無視して、屋台のみんなに手を振った。
騒いでいる時は、忘れられる。
胸に残る痛みも、目を背けたい現実も。
こうやって他のどんな人だって、
つらい苦しみを乗り越えていくものなのかな。
一人になってとぼとぼ歩く。
A「近道しようかな。」
影が伸びる街灯の通りを抜けて、公園に隣接する小高い丘を越える。
昔、来たことがある。
ここは、思い出が詰まっている場所。
石畳の階段を上がって、この宝石みたいな夜景が観える塔の手すり。
普段は誰もいないはずのこの場所に。
先約がいた。
「〜♪」
・・・歌？
一人で歌ってるの？
なんだか、変な人だったら嫌だな。
せっかく私もここで酔いを覚ましたかったのに。
足早に通り過ぎなきゃ。
横目でチラリと確認して、目線を逸らした。
「〜♪〜」
でもね。
自然に振り返ってしまったの。
だって、あなたのハミングが心を揺さぶる。
目を逸らせなくなる。
隠してた感情を、湧き立たせる。
生ぬるい風が、びゅっと吹いて頬を掠めた。
でこぼこに空いている、パズルのピースを埋めるように。
心の隙間が誰かを探していた。
あなただと分かるのは
まだずっと先のこと。
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なお(プロフ) - 環琉さん» こちらこそ、読んで頂きありがとうございました！ (2018年9月25日 21時) (
レス) id: 460cbb2093 (このIDを非表示/違反報告)
環琉(プロフ) - なおさんこんにちは。いつも素敵なお話ありがとうございます。 (2018年9月16日 11時) (レス) id: 3c1ded918f (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティ(プロフ) - こんばんは。一気に読ませて頂きました。今は亡き彼の墓前で「彼女を貰っていいですか？」って言うシーンには胸打たれました。チャンミンを良く理解しているギュのシーンも楽しかったです。最後は幸せな気持ちになりました。 (2017年6月8日 21時) (レス) id: 1eac5c6b24 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - なつさん» なっちゃーーん！元気？こちらは元気よ。仕事忙しいっす。相変わらず新作も書くことなく。でも暇だから（笑）見直して修正しちゃう。待たせる時間もドＳだからね。ちょっとずつ。苦しくなる、超重い話が書きたい。最近私病んでるからねw (2017年3月17日 22時) (レス) id: b5966abb7b (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - hakuさん» わー！すごく嬉しいです。コメント苦手なのに送ってくださってすごく励みになりました。最近更新ないですが、また現れたらこっそり遊びにきてくださいね。こちらこそいつもありがとうございます！ (2017年3月17日 22時) (レス) id: b5966abb7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なお
| 作者ホームページ：https://twitter.com/630HiTVXQ
作成日時：2014年6月5日 13時
