幸せ ページ16
『シフ』が亡くなってから、３ヶ月が経った。
「Aさん、渡したいものがあるの。
今夜うちに来てちょうだい。」
私との交際をずっと反対していた彼のお母さんから昼間に掛って来た電話に驚いた。
なんだろう・・渡したいもの？
ちょうどその日は彼の法要の日で
結婚したわけでもない私はその場には通してもらえなかった。
「これ。
シフからあなたに渡してくれと頼まれていたものよ。」
お母さんは怪訝そうな顔でその手紙を手渡した。
帰り道、その手紙をそっと開いた。
『Aへ』
懐かしい彼のくせのある文字を見ただけで涙が零れた。
『Aには長く苦労を掛けてしまった。
この手紙を読む頃には、もう僕のことはすべて忘れて他の誰かと幸せになって欲しい。』
彼は若くして、がんを発症した。
進行がとても速くて、見つかった頃には手の施しようがない状態だった。
それでも、彼の回復を信じてた私は懸命に彼の元に通って看病していた。
『君のおかげで、少ない人生が幸せな終わり方だった。
感謝している。』
つらい顔を私には見せまいと、必死に笑顔だった。
とても幸せとは言えなかった最期だったのに。
『君と暮らした思い出を胸に、僕は天国から見守っているよ。』
料理が得意だった彼は、いつも私に得意料理を作ってくれて。
休みの前の日は、缶ビールを持ってあの夜景が見える塔に二人で向かった。
次から次に、彼との思い出が蘇ってきて。
涙が止まらなかった。
『最後に、どうしても謝りたかった。』
本当に大切な人だったの。
だから、他の誰かに抱き締められて慰められるような簡単なものじゃない。
そう思ってた。
『俺が幸せにしてやれなくて、ごめんな。』
A「うぅ・・・泣」
うずくまって、声を殺して泣いた。
彼が亡くなって、久しぶりに泣いた。
誰か、助けて。
私を救ってよ。
A「チャンミン君・・・泣」
携帯から無意識に探していた番号は、彼だった。
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なお(プロフ) - 環琉さん» こちらこそ、読んで頂きありがとうございました！ (2018年9月25日 21時) (
レス) id: 460cbb2093 (このIDを非表示/違反報告)
環琉(プロフ) - なおさんこんにちは。いつも素敵なお話ありがとうございます。 (2018年9月16日 11時) (レス) id: 3c1ded918f (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティ(プロフ) - こんばんは。一気に読ませて頂きました。今は亡き彼の墓前で「彼女を貰っていいですか？」って言うシーンには胸打たれました。チャンミンを良く理解しているギュのシーンも楽しかったです。最後は幸せな気持ちになりました。 (2017年6月8日 21時) (レス) id: 1eac5c6b24 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - なつさん» なっちゃーーん！元気？こちらは元気よ。仕事忙しいっす。相変わらず新作も書くことなく。でも暇だから（笑）見直して修正しちゃう。待たせる時間もドＳだからね。ちょっとずつ。苦しくなる、超重い話が書きたい。最近私病んでるからねw (2017年3月17日 22時) (レス) id: b5966abb7b (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - hakuさん» わー！すごく嬉しいです。コメント苦手なのに送ってくださってすごく励みになりました。最近更新ないですが、また現れたらこっそり遊びにきてくださいね。こちらこそいつもありがとうございます！ (2017年3月17日 22時) (レス) id: b5966abb7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なお
| 作者ホームページ：https://twitter.com/630HiTVXQ
作成日時：2014年6月5日 13時
