八つ当たり ページ9
『しばらく日本の活動になるから、当分会えない』
いつもはそんなふうな言い方でわざわざ言わないのに。
チャンミンからの電話でそう告げられた時には
笑顔で「行ってらっしゃい」が言えなかった。
なにも、チャンミンを信じてない訳でも
ましてや疑ってる訳でもない。
最初はただの軽いヤキモチだったのかも知れない。
A「杉崎・・・今日飲みに行かない？」
一人で家に帰ったって、ろくなこと考えないから。
なにか違うことで気を紛らわせることで必死だった。
杉崎「珍しいですね。こんな時間に。」
残業で遅くなったPM１０：００。
A「ん・・・１杯だけ。付き合ってよ。」
「しょうがないですね。」そう言って一瞬困った顔をした杉崎を連れて。
アックジョンにあるBarに向かった。
杉崎「最近元気がない理由。聞いてもOKなんですか？」
杉崎には１年以上前に告白されたことはあるけど。
今は会社の仲いい同僚同士。
なんでも言い合える存在だった。
A「別に・・・何もないよ 笑」
杉崎「ごまかしてるつもりですか？バレバレなんですけど。」
クイッとカクテルを飲み干した後、いつになく真剣な表情になった。
A「・・・信じてるんだけどさ。」
自分から誘っておいて、これ以上白状しない訳にいかない。
A「時々、怖くなる。
相手にとって自分でいいのかなって。」
脈絡のない話し方の私の話を、杉崎は黙って聞いていた。
杉崎「先輩らしくないな・・・」
ふっと杉崎が漏らした言葉に、少しカチンときた。
A「私らしいってなによ！ 怒
私だって弱いとこなんていくらでもあるわよ！」
杉崎「ごめん・・そういう意味じゃ・・・」
最低・・・私、完全に杉崎に八つ当たりだ・・・
A「はぁーー・・
ごめんね？
話聞いてもらったのに。」
いつになく微妙な沈黙が流れて、居ずらくなった私は「ちょっと、トイレ。」席を立つ。
その瞬間
ふいに握り締められた右手に
杉崎の熱を感じた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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作者名：なお
| 作者ホームページ：https://twitter.com/630HiTVXQ
作成日時：2012年10月25日 15時
