記憶 ページ21
ゆっくり、ゆっくり、目を開ける。
ぼんやりと浮かぶアイボリーの色した天井は。
昨日、確かにチェックインしたホテルの自分の部屋だった。
A「・・ん・・・」
鉛のように重たい頭を上げると、自分の姿を確認して驚愕した。
服はなにも身に付けていない、上下レースの下着姿。
A「うそ・・・でしょ・・・」
「おはよ。」
未だ頭の中が整理し切れていない私に、笑い掛けながら。
シャワー室から出たきた状態のミノが歩いてくる。
ミノ「喉乾いたなー。先輩もなんか飲む？」
当たり前のように冷蔵庫を覗き込み、いつもの敬語で話さない。
そのまるで恋人のような接し方は、ふたりの仲が一線を越えたことを暗に証明しているようだった。
A「ミ・・・ミノ・・・わた・・し・・」
どうしよう。
どうしよう。
私、チャンミンを裏切ることをしてしまった。
手が自然に震えてくる。
止めどなく涙が急に溢れ出して、必死で声を押し殺していた。
ミノ「なんで泣くの？」
冷蔵庫からペットボトルの水を取り出したミノが、私の居るベッドの縁に腰掛ける。
A「ごめ・・・ごめんなさい・・・泣
私・・・全然覚えていなくて・・・泣」
昨日、最後に気分良くＢａｒで飲んでいたところまでは覚えてる。
でもそこから記憶がぷっつりと途切れてしまっていて、どうやってこのホテルにまで辿り着いたのかすら思い出せない。
ミノ「泣かないで・・・
大丈夫だから。」
膝に突っ伏して泣いてしまっている私の髪の毛を撫で、頭を引き寄せる。
ミノ「先輩、彼氏居るんでしょ？
分かってるから・・・」
冷静なミノの声が頭上から聞こえる。
ミノ「大丈夫。
俺たちだけの秘密にしといてあげるから。」
顔を上げると、意味深に微笑む。
秘密・・・
チャンミンに知られたくない。
そうとっさに思ってしまった私は、コクンと頷いた。
正直に話したら、嫌われてしまう。
一瞬の私の心の歪が、まるでミノに伝わっているかのようだった。
ミノは優しく私を抱き締めると、顔を隠すように首筋に顔を埋めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1051人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
結那 - ユノと結ばれてもいいと思います (2015年4月18日 15時) (
レス) id: 6ad2845574 (このIDを非表示/違反報告)
なっおドラ(プロフ) - こんばんは^^ このお話すごく好きです。どっぷりハマってます。続きが読みたいので、宜しければパスワード教えて下さい。お願いします♪ (2014年11月12日 23時) (レス) id: aacc3f465f (このIDを非表示/違反報告)
らぶ(プロフ) - パスワード教えて下さいお願いします。早く続きが見たいです。 (2014年11月12日 23時) (レス) id: 14713987c8 (このIDを非表示/違反報告)
オウム - 毎回なおさんの作品を楽しみにしてますオウムと申します。こんばんは！第3章がパスワード必要とのことで、初めてメッセージを送りました。私はチャミペンです。2章で、ユノと最後終わっちゃって、、正直苦しいです(笑)。続編期待していますので、よろしくお願いします。 (2014年11月12日 23時) (レス) id: 1bc8c1591a (このIDを非表示/違反報告)
えみり(プロフ) - はじめまして。すべての作品楽しく読ませていただいたいます。続きが読みたいので、パスワードを教えてください。よろしくお願いいたします。 (2014年11月12日 23時) (レス) id: bfd842430a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なお
| 作者ホームページ：https://twitter.com/630HiTVXQ
作成日時：2014年9月6日 22時
