汚れた世界�� ページ7
「今日も来てくれたんだ。ありがとう」
――気持ち悪い。色白で、ガリガリで…まるで幽霊みたい。
いつだったか。
僕が微笑んだらそう言った人がいた。
その頃と何も変わらない笑みを君へと向けると、君は僕なんかよりずっと素敵な笑顔を返してくれた。
それは、本やテレビでしか見た事のない、満開のヒマワリのようだった。
僕は入院生活が長く、外に出た事はあまりない。
生まれて数十年、世の中の流れや事情は本やテレビから得て過ごしていた。
だから、僕にとっての世界はこの無機質な部屋のみ。
彼女はそんな僕に新しい世界を見せてくれた。
彼女と出会ったのは数カ月前。
数ヶ月に1度、学校で何か行事があるとお見舞いに来てくれる幼馴染の付き添いで来てくれたのが彼女だった。
…あ、幼馴染と言っても、家が近いというだけでそんなに仲は良くない。
お見舞いに来てくれるのも先生に頼まれたから仕方なく、という感じで、来る度に心底面倒そうな顔をしていた。
まぁ、正直そんなのは慣れっこで、どうでも良い。
その時付き添いで来てくれた彼女。
最初はいつも通り、イヤイヤ来たのだろうな、と僕は思った。
親ですら、滅多には見せないけれど、たまにそんな顔を見せる。
けれど、幼馴染が少し席を外し、彼女と他愛もない話をした時の事だ。
彼女は僕なんかの話を楽しそうに聞いてくれた。
確か…何でそんな話になったのかは覚えていないけれど、あの黒い虫…Gの話をした気がする。
(今思えば初対面で何て話をしているのだろうか。)
ただ本から得た雑学だったけれど、彼女は興味を持ってくれたて、「また来ても良いか」と言ってくれたのだ。
…嬉しかった。
今まで生きてきて、僕に興味を持ってくれたのは彼女が初めてだったから…。
そんな感じで、あの日から彼女はかなりの頻度でここへ来てくれる。
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作者名：妃闇 | 作成日時：2016年1月23日 19時
