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北斗side
彼女が襲われたって聞いて
一瞬目の前が真っ暗になった。
最後に会ったのはかなり前で
掴まれた腕を振り払って
喧嘩別れしちゃって。
最後にAちゃんの
笑顔を見たのは?
抱きしめたのは?
想いを伝えたのはいつだっけ?
彼女と話し合いをしなかったせいで
あの日から声も聞けていないし
顔も見れていないし触れられていない。
あれが最後だったのかな
なんて思ってしまって
目頭が熱くなった。
話をよく聞けば
ストーカーには1ヶ月前くらいから
つけられたりされていて怖かったって。
久しぶりに会って抱きしめた彼女は
気持ち前より細くなっていて
絶対に何があっても手放さないと
今日の出来事に誓った。
『言い訳に聞こえちゃうかもしれないけど
万が一つけられて北斗くんの家に
入っていくところを見られたりしたら
住所特定とかされちゃうかなって思って
合鍵使えなかったの。だからケンちゃんに
頼んだりしてたんだけど…』
こんな事がなかったら毎日でも
遊びに来たり泊まりに来てたのに
って困ったように笑う彼女。
「これからはAちゃんの
彼氏として俺にも支えさせて?
俺以外とケンちゃんより頼り甲斐
あるかもしれないし(笑)」
なんてふざけて言うと
久しぶりに笑った顔が見れた。
不眠症は俺と出会う前からで
日に日にクマが濃くなっていくから
心配かけたくなくて自撮りも送れなかったし
テレビ電話もできなかったらしい。
『でも送ればよかったね。
パンダも羨むくらいの
黒さだったからさ、目の周り』
なんて言って笑う彼女。
「貴方、俺と会ってなかった間
パンダと張り合ってたの?(笑)」
今日は綺麗に下ろされている髪の毛を
優しく撫でながらそう言ったら
『北斗くんに会えなかったから
時間持て余しちゃっててさー』
なんて返ってきて。
離れていた時間を埋めるように
朝まで語り明かした。
久しぶりに二人とも時間が合って
キラキラ目を輝かせる彼女と
やっと約束できたお家デートを
メンバーに邪魔されたって話は
また今度ね。
CHAPTER 3: THE END
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作者名:あいびー | 作成日時:2024年2月4日 12時