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樹side
「なんか、情報量が多すぎて…
ついていけない」
なんで頑なにAちゃんが
北斗と会わないのか。
日に日にクマが酷くなっていたのか。
その理由が分かったのは
二人がすれ違って初めての
大喧嘩をした数日後。
仕事の時間が急に早まって
急いで“Reverse”を出た日。
イヤホンをカフェに忘れてしまった
ことに気づいたのは閉店間際の時間。
送迎車で急いで向かってもらうと
ちょうどAちゃんが看板とか
しまっているのが見えた。
急いで降りて声をかけようとすると
異変に気がついた。
俺と同じくらいの身長の男が
窓の外でジッと店内を見つめた後
ドアを開けて入っていくのが見えた。
CLOSEDの看板があるのに
躊躇いもなく入っていくその男に
危険を感じて。
警察に電話をした後
追いかけるように入っていく。
休憩室の方から明かりが漏れていて
そこから聞こえてくる声。
「酷いな〜。僕はあの時から
Aちゃんのこと好きになったのに。
そしたら堂々と他の男と腕組んで
歩くようになっちゃってさ」
『本当にっ、出てってください!』
「僕のAちゃんは
そんなふしだらなこと絶対しないのに」
『警察呼びますからっ!!』
「なんで僕の気持ち
受け取ってくれないんだよぉ!!!!!!」
ガタガタっと音が聞こえて
Aちゃんの悲鳴が聞こえる。
少しだけ開いてた扉を
勢いよく押すと机越しに
彼女に迫ってる男が見えた。
その手には小さめのカッターが
握られていて男は怯えてる
Aちゃんを見つめながら
ニタっと笑った。
「おいっ!お前何やってんだ!!!!」
『樹くんっ、、!』
ドア付近にあった椅子を蹴ると
そいつの膝に命中したらしく
うずくまった。
その隙にAちゃんに
駆け寄ると今にも溢れそうなくらい
目に涙を溜めていた。
Aちゃんを後ろに隠すように
立つと彼女が遠慮気味に
俺の袖を握ってきた。
すげぇ震えてて。
その手を握ってあげると
弱く握り返してきた。
「くっ、、僕を差し置いてそんな
乱暴なやつを選ぶなんて…
お仕置きしなきゃね?」
ゆっくりと立ち上がった男は
俺らを目掛けてカッターを振り下ろした。
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作者名:あいびー | 作成日時:2024年2月4日 12時