* ページ27
樹side
久しぶりのオフで飯を食った後
ぶっ倒れるまでゲームをしようと
テレビの前に座ると携帯が鳴った。
「あー北斗?どうした?」
「樹、俺っ、
もうダメかもしれないっ
俺と、っAちゃん」
自信なさげにそう言った
北斗にうちに来るように伝えると
数十分後に目と鼻を真っ赤にして来た。
仕事終わりに我慢できなくて
Aちゃんの家で帰りを待っていると
あの日見た男性と腕を組んで
歩いてきたらしい。
彼と話しながら帰ってきた
Aちゃんはすごく楽しそうで。
メールをしている時は「寂しいね」
なんて送りあっていたのに
実際に会った彼女は楽しそうで
北斗だけが会えない時も彼女を
想っていたかのようだ、と。
最近会えていなかったのは
これが原因だったのか…って
点と点を繋げて落ち込んでる。
「俺さすんごいAちゃんのこと
好きなのよ。会えない時間とか本当に
苦しくて。だから合鍵渡したのにさ
全然使ってくれてないし…俺らアイドル
ってそもそも普通に付き合えないじゃない?
だから寂しくないようにって試行錯誤
してきたつもりだったんだけど…
やっぱり無駄だったのかな…」
そう言って笑った北斗は
すごく悲しそうなのに、まだ
彼女への想いを胸に抱えてる。
嫌いになりたいのになれないって感じ。
Aちゃんには申し訳ないけど
こんな北斗見てらんないよ。
「北斗、俺Aちゃんに
口止めされてたことあるわ」
「…えっ?」
「不眠症のこと」
「不眠症…?」
「北斗が顔見せてくれないって
言ってた頃あっただろ?あれ、多分だけど
不眠症でクマが酷いから。カフェで
見かけた時マジでやばかった。前は俺らの
ラジオ聞けば寝れるとか言ってたんだけど
最近はそれでも寝れないらしくて。
理由はちょっと聞けなかったんだけど
“こんな顔じゃ北斗くんに会えないよー”
って言ってたから…多分それが会えてない理由」
「そんな、俺に相談してくれても、」
「心配かけたくないって言ってた。
“北斗くん忙しいから
自分でなんとかする”って」
すげぇ傷ついた顔をして
深いため息をついた。
「で、一緒にいた男性っていうのは
ケンちゃんっていう男友達だって。
“ケンちゃんは男性が好きだから大丈夫”
って言ってたけど、心配なら
今度会ってみたら?」
658人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あいびー | 作成日時:2024年2月4日 12時