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樹side
「毎回思うけどさ、あんなに
うるさいラジオでよく寝れるね?(笑)」
『ね(笑)私もそう思うよ(笑)』
あははっと無邪気に笑っているけど
今日は特にメガネの奥のクマがひどい。
「Aちゃん」
『ん?』
「最近寝れてないの?」
俺の質問に眉を八の字に下げながら
苦笑いで俺の方をチラッと見た。
『やっぱりそんなにひどいかな?』
「4日くらい前に会った時よりは
ひどくなってる気がする」
『樹くん、本当正直。
逆に言ってくれるのありがたい(笑)
だけどそんなに酷いんだったら
北斗くんに会えないなー』
「病院とか行った方が
いいんじゃない?」
『北斗くんには…言ってないよね?』
「言ってないけど…
相談しないの?」
『北斗くんすでに忙しいから
相談できないよ… あっでも
病院は行ってみるね!』
俺に不眠症のことを打ち明けてくれた時
約束して、と言われた。
北斗には言わないでくれ、と。
彼氏だから頼ればいいのに
心配かけたくないらしい。
彼女の不眠症を知ったキッカケも
今日みたいに酷いクマを見た時。
俺らの忙しい先輩でも
あまり見ないくらい濃いクマで。
その時も今と変わらない笑顔で
『私不眠症だからこうなっちゃうの。
心配かけてごめんね?でも大丈夫だから』
って言ってたな。
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作者名:あいびー | 作成日時:2024年2月4日 12時