Coffee & Cream (ページ12)

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ep. 12 ページ12

いつから名前呼びが定着してるのか
いつからモンクロって呼んでくれてるのか
何も確認できないまま二人は
帰って行った。

もうすぐツアーが始まるらしく
そのリハーサルがあるんだとか。

二人が帰った後も
変わらず仕事を頑張る。

営業が終わって
お店の閉店準備をしている。

店長が急用でいなくなってしまって
私一人でお店にいる。

「一人で残して本当ごめんね！
今日のペストリー好きなだけ
持って帰っていいから！！
ちゃんとしたお礼は今度させて！」

そこまでやること残ってなかったし
ペストリーいただけるとか
進んでやりますって感じ。

洗った食器を棚に戻しながら
鼻歌を歌っていると。

ーーーカランっ

『へ？』

入り口付近から聞こえた
ドアが開く音。

私としたことが…
“CLOSED”サインにするのを
忘れてたみたい。

「あれっ、もう
閉まっちゃってます？」

現れたのは今朝も来ていた
松村さん。

忘れないうちにサインを
OPENからCLOSEDにする。

『今閉店準備してるんですけど…
あ！ペストリーだったらまだありますし
レジも閉めてないので大丈夫ですけど』

「いや、あの樹から聞いたんですけど
バースデーケーキって作って
いただけるんですか？」

『はい、承っております！
あ、でもケーキ類はいつも店長が
お伺いしているんですけど
今日はもう帰っちゃって…』

「そうなんだ…」

『申し訳ございません。
良かったら折り返し連絡するように
お伝えしておきましょうか？』

エプロンのポケットにしまっている
メモ帳とペンを取り出して渡すと
少し考えてる様子。

返された手帳には電話番号ではなく
＠の後に数字とアルファベットの
羅列が書いてある。

「できたらAちゃんから
連絡もらえる？」