Why Not？ (ページ9)

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ep. 9 ページ9

『ん？ちょっと待って』

「ん？どしたの」

『この車どこ向かってます？
私、住所伝えましたっけ？』

「え、俺の家」

『はぁ？え、なぜ？』

「だってAちゃん、ずぶ濡れじゃん。
すぐに温まった方がいいかなって思って
俺の家すぐそこだし」

この男はなんてことを。

白目になりそうになって
頑張って眼球を戻す。

「それに俺、Aちゃんと
仲良くなりたいし。一緒に飯食ったり
したいし。だからお風呂入って体温めて
その後デリバリーでも食いながら話せば
俺らもう大親友じゃん」

この人、頭沸いてるじゃん。

て言うか考え方チャラっ。

圧倒的な陽キャムーブじゃん。

普通に考えれば３度目ましてなのに
大親友になれるわけないだろ。

『ちょっと待って
樹さん？』

「呼び捨てでいいよ。風磨と
同い年でしょ？俺らタメだし
敬語じゃなくていいよ」

目には目を
歯には歯を。

無礼なヤツには無礼を。

ってことで言わせてもらいます。

『じゃあ言わせてもらうけど
家に帰してもらえる？私
あなたの家に行くつもりない。
風邪引いても濡れたままでも
いいから、自分の家帰る』

「俺、困ってる女の子
ほっとけないのよ。それに
もう着いちゃった(笑)」

アイドルっぽくウィンクをして
車をパーキングに入れた。

「どーぞ、どーぞ、
スリッパかわいい色なくて
ごめんね。はい」

こんなチャラ男の家に足を
踏み入れるなんて本当に、自分でも
ヤバイことしてるって分かってる。

これはまた風磨に
相談案件かもしれない。