Why Not？ (ページ8)

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ep. 8 ページ8

近づくと降ろされた窓。

「Aちゃん、お久しぶり」

『お、お久しぶりです』

「傘持ってないの？
送ってこうか？」

『いや、大丈夫です。
今風磨にお願いして、』

すると携帯が手の中から奪われて
その人の手に渡った。

『あっ、ちょっと！』

「あー風磨？俺、樹。
Aちゃんのことは俺が
責任持って送ってくから
来なくて大丈夫」

そう一方的に言うと
勝手に切られた電話。

『あっ、ねぇ！はぁ…
マジで何してくれてんですか』

「文句はいくらでも聞くから
早く乗って」

イヤイヤ乗ったのは
高そうな香水の匂いがする車。

「後ろにさ、タオルあると
思うから使って」

『ありがとうございます…』

意外に優しいところもあるんだ。

「この間聞こうと思ってたんだけどさ
風磨とはどう言う関係なの？」

『あー、大学のクラスメイトです。
取ってるクラスが同じで
一緒に勉強したり』

「へぇそうなんだ！
通りで仲良さそーだと思った！」

『… そっちは？』

「“そっち”って、距離ありすぎな？(笑)
樹って呼んでよ」

チラッと運転席を見ると
カッコいい雰囲気を纏っている。

キャップのつばから見える目は
何故かキラキラしていて
オーラに圧倒されそうになる。

そういえばこの人も
風磨と同じで芸能人なんだっけ。

「Aちゃん、聞いてる？」

『へっ？あ、はい』

「名前、呼んで」

『まだ仲良くないから、嫌です』

「酷いねー。ずぶ濡れで帰るところを
拾って送ってあげようとしてるのに」

え、頼んでないよね？

風磨に頼もうとしてたのに
勝手に電話切ったのは
どこのどいつですか？