Why Not？ (ページ5)

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ep. 5 ページ5

「ほんっっっっっっっっっとに
申し訳ないんだけれども」

『何、どうしたの？』

「俺、期日勘違いしてた
レポートがあって。明後日だと
思ったら今日らしいのよ。
ワンチャン、届けてくれない？」

『今どこ？』

「帝国劇場」

『本当私が何も予定なくてよかったね。
届けてやらんこともない』

「マジで今度何でも奢る！
公演の間にやっと書き終えたんだけど
抜けれないからマジ助かるわ」

『叙々苑ね。また近くに
なったら連絡する』

調べた住所に行って
警備員の人に名前を告げると
楽屋番号を言われて通された。

『方向音痴だって知ってるはずなのに
なんで迎えにこないかな…』

なんて文句垂れながら
キョロキョロするんだけど
誰一人いないのは
マジでなんで？

？「関係者以外
立ち入り禁止ですけど」

いきなり背後から声がして
全身がビクッッッとする。

どこかで聞いたことあるような
ちょうどいい低さの声。

振り返るといた
見たことある男。

『っっっ、』

目の前にいる細身に
両耳ピアスの男。

ブレスレットにネックレスは
これでもかっていうくらい
身につけてる姿を見るのは
あの日以来。

？「えっ？Aちゃんじゃん！
こんなとこで何やってんの？」

『いや、あのっ』

？「俺のこと覚えてる？」

『覚えて… ませんっ』

？「えー嘘だね」

一歩づつ近づいてくるその男と
一歩づつ後退りする私。

「樹って言うんだけど
本当に覚えてない？」

そう言って微笑んだと同時に
背中が壁についた。

ゆっくりと近づいてくるソイツは
あの日と同じ甘い香りを身に纏っている。

「んはっ
男慣れしてないの可愛いね」

『っっ、、、！』

チャラチャラしたヤツめ…