Why Not？ (ページ25)

今日:33 hit、昨日:299 hit、合計:143,140 hit

ep. 25 ページ25

『えっ、じゃあ、、
何もしてないってこと？』

「うん、してない」

『じゃあ、なんであんなことっ、』

思い出すのはあの日の出来事。

起きたら見知らぬホテルにいたこととか
ベッドに二人して下着姿だったこととか

「昨日の夜はあんなに名前
呼んでくれたのに」

とか言われたこととか。

「今あの日のこと
思い出してるべ？(笑)
顔真っ赤だよ(笑)」

あははっと笑った彼に
反論できないくらい恥ずかしくて。

『思い出してない。ていうかしてない
なら、、っなんであんな嘘ついたのよ、』

「Aの記憶に
とどめておいて欲しくて、俺のこと」

『だからってあんなこと言わなくても…』

「でもインパクトあっただろ？
現にちゃんと覚えてたじゃん(笑)」

愛おしそうに見つめてくる
樹に耐えられなくて目を逸らす。

「だから、俺らの歴史って
結構長いのよ？」

絡めてる手をぎゅっとしてきて
「知ってた？」なんて聞いて首を
傾げてる目の前のあざといやつと
必死に話題を逸らそうと頑張る私。

『て、て言うか…店舗移動の件
風磨にアドバイスされた
って思ってた』

記憶がなくなるほど
酔っぱらった次の日。

唯一覚えていたのは

「超えられない辛い壁なんて
神様が与えたものでもないから
逃げていい。店舗移動すれば
いいと思うよ」

って言われたことだけ。

それですぐに店長に頼んでバイト先を
アパートに近かった店舗から
大学に近い店舗にしてもらった。

うっすら記憶に残っていた店舗移動の
アドバイスを風磨に会った時

『風磨、この間はありがとうね。
たくさん迷惑かけちゃったけど
来週から渋谷店で働くことになった』

って言ったら

「んあ、よかったじゃん」

なんて言ってたのに。

「提案したの俺な(笑)だから
あの雨の日、風磨から聞いてた
バイト先とは違うところだったから
なんか嬉しかったよ(笑)」

手は繋がれたまま
目に皺を寄せて笑っている。