Why Not？ (ページ23)

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ep. 23 ページ23

樹side

「ねぇ、家どこ？」

あんだけ酒を飲んだと思わせないくらい
しっかりした足つきで歩いている彼女。

『私バイト先で、女の先輩に
目つけられてて。しかもその理由が、
その人の彼氏に言い寄られてるからで』

隣に並んだ俺の質問は無視で
そう言ってきた。

『私、頼んでないんですよ？言い寄ってくれ
とか。なのに彼氏じゃなくて私を
責めてくるんです。“お前、人の彼氏
たぶらかしてんじゃねーよ”って』

「あー、勝手な嫉妬ね(笑)
厄介だよね、あれ」

『それから、なんか皆んなに無視されたり
雑用増やされたり。なんか学生時代に
戻ったみたい(笑)』

「大人気ないね、みんな」

『でも屈したくないんです
そんな人たちに。かれこれ１－２ヶ月
続いてて本当に嫌になるけど、人生
楽なことばっかじゃないし、なんか
乗り越えなきゃいけない壁？
みたいな気がして』

「うーん… 俺詳しくは分かんねぇけどさ
つらくなったら逃げていいと思うよ？」

すると立ち止まって
驚いた様子で俺を見る。

「いや、ほらよく言うじゃん？
“神様は超えられない壁は与えない”とか。
だけど超えられない辛い壁なんてさ
神様が与えたもんでもなんでもないから
逃げていいと思うんだけど。だからー
あの、店舗移動とか？すればいいと思うよ」

すると段々目に涙が溜まって
しまいには声を抑えながら泣き出した。

『ごめんっ、なさい、、』

「全然全然。気が済むまで
泣いちゃえ(笑)」

そんなに抱え込むくらいなら
俺相談乗るのになー。

なんて寒空の下で呑気に考えてたら
俯いて動かなくなった彼女。

「ん？大丈夫？」

近づいて肩を持つと
ユラユラ揺れ始めて。

泣いてるのか本気で心配になって
上を向かせると

 『うっ、、』

腹から足先まで綺麗に吐かれた。