Why Not？ (ページ19)

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ep. 19 ページ19

お腹が空いて何か食べようとしたけど
気分が向かなくてまたベッドに横になる。

でも何もしていないと
また泣きそうになって。

泣き疲れて目を閉じると寝てしまって
次目を覚ましたのはインターホンが
鳴った時だった。

覗き穴を見るとキャップを
深く被った人が立っている。

ーーードキッ

頭では誰か分かっているけど
傷つかないように溢れ出そうな
彼への想いを飲み込む。

ーーーガチャっ

扉を少しだけ開けた瞬間
大きく開いてその人が入ってきた。

『ちょ、ちょっと』

「はぁ、はぁ、はぁ」

『何、してんのっ？』

平常心を装うけど
声が少しだけ震えちゃって
全然平然としていられない。

「俺、昨日コンサートしたばっか
なのに、階段駆け上がっただけで
息切れしてんの(笑)ヤバくない？
アイドルとして、普通に」

『いや、そうじゃなくてっ、、
なんでここにいるの？
ていうか住所、教えたっけ？』

樹の顔を見てしまえば
気持ちがバレてしまいそうで
目が泳いでしまう。

「A」

『…はい』

「上がっていい？」

『あっ、うん。
ごめん… どうぞ』

彼の目を直視してしまえば
また泣きそうになるから
床と会話してんのか
ってくらい俯いてる。

スリッパを出してリビングの方を
向くと後ろから抱きしめられた。

こんなことされたら
また胸が苦しくなる。