ep. 17 ページ17
そんな私が密かに気になり始めてる
人はアルバムツアーがあるらしく
地方遠征へ行っていて、確か今朝
帰ってきてるはず。
樹と知り合って初めて
数週間会えなかった。
言うなんて思ってもいなかったけど
意外に寂しいかもしれない。
くだらないことを言い合ったり
美味しい料理を一緒に食べたり
向けてくる好意や愛情をウザがったり。
頻繁に会ってた人だから
いざ居ないと寂しい。
気まぐれに電話でもかけてみるか。
そう思って珍しく
早く行動に移した。
だけどそれが
いけなかったのかもしれない。
−−−♪
−−−♪
２コール目で取られた電話。
『あっ、もしもし樹？
忙しいところゴメン、』
「樹くん？あっ、ちょっと
待っててくださいね〜」
冷水をかけられたくらい
体がこわばって動けない。
電話を出たのはフワフワした
感じの大人な女性の声だった。
心臓がバクバク言ってて
耳の奥まで反響してる感覚。
その声の女性が誰か
想像を膨らませちゃって
心がギュッて握られてるように
苦しくなってきて。
樹に彼女がいようが、都合の良い
そう言う相手がいようが私には
関係ないはずなのに
すごく胸が苦しい。
折り返しの電話が何回も
きてるけど出れるわけないじゃん。
勝手に意識し始めて
勝手に寂しくなって
勝手に電話して
勝手にビックリして
ある意味、自業自得。
ーーーポタッ
気づけば涙が出ていた。
流れ始めた涙は止まることを
知らず溢れ出てくる。
それさえも悔しくて。
『これじゃ樹のこと
好きみたいじゃんっ、、』
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作者名：あいびー | 作成日時：2024年2月24日 7時
