甘えるって。《黄》 (ページ3)

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仕事終わり、重い身体を引きずって、

家に帰ってきた。

さっきから変わらない、むしろ増す倦怠感と頭痛、

それに加えてなんだか寒気までしてきて

私の身体はもう限界だった。

確実に熱を帯びている自分の身体。

今、体温を知ってしまったら何もできる気がしないと

感じて、何とか先に、メイクを落とし、

シャワーだけ浴びて身体をスッキリさせた。

スキンケアやボディケアもそこそこに、

リビングのソファに倒れ込む。

持ってきておいた体温計を脇に挟み、

何も考えず天井を見つめる。

身体はしんどい割に案外頭の中は冷静だった。

『…37度8分…』

久しぶりにみるそんな体温。

熱なんて、数年ぶりに出した。

慣れないせいでどうしたらいいものかわからない。

予備で買っておいた市販の風邪薬と

普段使っている生理痛の薬はあるが

解熱剤や頭痛薬もない。

頭痛って、生理痛の薬でもいいんだっけ……

併用できた気はするが、パッケージを読めるほどの

体力は残っていなかった。

それに、ゼリーやフルーツもなければ

熱の時に必要な冷却シートだって

私の家には持ち合わせていない。

誰かに頼むわけにもいかないし、

熱が下がって動けるようになったら買いに行こう。

とりあえずこのしんどい身体を休めたい。

気休め程度に、朝残しておいたスープをひと口

身体に流し込み、市販の風邪薬も口の中に入れる。

いつも相棒の様に持っているスマートフォンでさえ

今日はもはや、どこにあるのかわからない状態。

だから、ツラい時は彼氏に相談する、なんてこと

私には出来るわけがなく。

照くんに連絡する、なんて

1ミリも考えられる頭ではなかった。

体温計と、ペットボトルの水だけ持ち、

足早に寝室に向かい、ベッドに横になる。

お願いだから、明日には少しくらい良くなってくれ、

そう願って、眠りについた。