301話 ページ10
「痛む？ Aちゃん」
「いや……」
琥珀の事は珊瑚に任せ、とりあえずAの手当てをした。
思ったよりも深く鉈が刺さり、血が止まらないのだ。火鼠の衣もないし。
だがそれよりも、もっと気になっていたことがある。
琥珀は、父親に、『必ず無事に連れ戻す』と約束したのだ。
操られているなら、そんな言葉は出ないはず。
(まさか、琥珀……。お前……！)
琥珀は1人、飛頭根を追っていた。
飛頭根は太一から離れ、今度はイノシシに憑りついていた。
イノシシの目に鎖鎌を突き刺し、飛頭根はまたも逃げた。
(姉上は、取り逃がしたのか？)
「そいつには毒粉をまいた」
後ろから珊瑚の声が降って来た。
「じき死ぬ」
琥珀は身を翻し、鎖鎌を構えて後ろに下がった。
「琥珀、お前は何をしてるの？」
「奈落の命令で、妖怪を集めていた。だが、そいつが死ぬならもう用はない」
1歩ずつ後ろに下がり、琥珀と珊瑚の距離は少しずつ空いていく。
耐え切れずに珊瑚が琥珀に近づくと、琥珀は鎖鎌を投げて走り去っていった。
鎖鎌は飛来骨で防いだから大事には至らなかったが、珊瑚の目から涙が溢れた。
「珊瑚ちゃん！」
「Aちゃん……！」
「うわっ！？」
珊瑚はAに抱き着いた。
琥珀の心は奈落に操られたままだ。
珊瑚にはそれがつらいのだと。
(じゃあ、太一君を連れ戻すって言った、あの時の琥珀は……？)
太一は無事父親の元に返し、一行は山を離れた。
火鼠の衣がないせいで、飛頭根に操られた太一が持っていた鉈が、Aの体を貫いた。
まだ、血が止まっていない。
「姉貴」
「何？」
「無理はするなよ」
「約束はできないかなー」
「じゃあ、Aちゃんはその傷が塞がるまで戦っちゃ駄目！」
「えーそれは困る」
かごめと犬夜叉との会話に集中していたせいで、後ろから近付いてきた珊瑚と弥勒に気付けなかったAは、桜を奪われた。
「え、あっ、ちょっ！」
「これは没収！」
「傷が塞がるまで大人しくしていてください！」
「うっそだー……」
Aは項垂れた。
それと同時に、また痛みが走る。
腹の傷を睨み、また大きなため息を吐いた。
刀々斎のところに取りに行けば良いのだが、生憎とそんな暇はない。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 神楽が死んじゃいましたからね。今思えば神楽も神無も可哀想ですよね (2017年9月3日 9時) (
レス) id: fac1f46ec3 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 次は神無か〜 (2017年9月2日 21時) (レス) id: 84688a4b7b (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - にんじんさん» どうやって夢主を馴染ませていこうか、まだあれこれ頭を悩ませています。更新ペースが遅くなるかもしれませんがお付き合いくださいっ (2017年8月23日 8時) (レス) id: fac1f46ec3 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - もう、完結編なのかクライマックス楽しみにしています！ (2017年8月23日 0時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月22日 16時
