340話 ページ49
男の周りには霧が出ていた。
それは、毒蛟や犬夜叉たちを包んだ、『あの時』の霧と同じものだった。
男は自らの名を、『夢幻の白夜』と名乗った。
「あの時妙なことしやがったのは、お前かーッ！」
犬夜叉は目にもとまらぬ速さで鉄砕牙を抜き、男を切りつけた。
だがその白夜は幻だったらしく、蓮の花が炎に包まれて出て来た。
(出会い頭に切るか、普通……)
本物は別の木の上で様子を窺っていた。
「そこかぁっ！」
「あ？」
Aの手に持った焔桜牙が、真っ直ぐに白夜を捕らえた。
「おっと」
白夜は華麗に避け、静かに地に降りた。
それを追いかけるようにAも地に降りる。
「てめえ、奈落の分身だな！？」
「へえ、わかるのかい」
「てめえの体から奈落の匂いがすんだよ。ちくしょう鬱陶しいからこっちくんな近寄るな！」
目一杯Aに睨みつけられ、白夜の心は早くも折れそうだった。
「ッ、そうか……。これから気をつけないとな」
必死に笑顔を作ろうとするが、もう遅い。
口許は引きつり、頬は笑みの作り方を忘れたように固い。
「Aちゃん、犬夜叉？」
Aの怒ったような声に吃驚して様子を見に来たかごめが、小屋の扉から顔をのぞかせた。
「大丈夫だよ。何でもない」
Aもまた、心配させまいと必死に笑顔を作る。
その隙に白夜は心の傷を回復させ、落ち着きと余裕を取り戻した。
だが口を開いた時、遠くの方でドーンという音がした。
「何だ？」
「毒蛟さ。ここにいるって教えといたからな。……俺の見たところ、毒蛟はあの鱗の刀でしか倒せないぜ」
「嘘つけ。さっき傷ついてただろ」
Aの目は白夜を睨みつけていた。
白夜自身は奈落の分身であり奈落ではない。
それなのに奈落の匂いがするというだけで悪口雑言を浴びせられると、さすがに悲しい。
Aの目は、奈落に向けるべき目だと思う。
だが今はそんなことどうだっていい。
「さっき毒蛟が言ってたろ。あいつ、魍魎丸の肉片を喰ったって。何度傷ついても再生するぜ」
(ちくしょう……使うしかねえのか？)
犬夜叉の拳が握りしめられる。
それと同時に毒蛟が姿を現し、それに気を取られた一瞬の隙に白夜は消えた。
鉄砕牙に手をかけ、息を呑んで鉄砕牙を抜く。
Aは1人、どうするべきか迷っていた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 神楽が死んじゃいましたからね。今思えば神楽も神無も可哀想ですよね (2017年9月3日 9時) (
レス) id: fac1f46ec3 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 次は神無か〜 (2017年9月2日 21時) (レス) id: 84688a4b7b (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - にんじんさん» どうやって夢主を馴染ませていこうか、まだあれこれ頭を悩ませています。更新ペースが遅くなるかもしれませんがお付き合いくださいっ (2017年8月23日 8時) (レス) id: fac1f46ec3 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - もう、完結編なのかクライマックス楽しみにしています！ (2017年8月23日 0時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月22日 16時
