320話 ページ29
驚いている鋼牙達をよそに、盛り上がった地面はやがて3つ首の狼らしきものになった。
これがここの墓守なのだろうか。
「誰だ……。我が聖域を荒らす者は」
「お、俺たち盗人じゃありません！」
「ちょっと武器を借りに来ただけです！」
いつもなら震えあがって声も出さない2人が、今日は鋼牙より先に喋った。
それに少し驚いた鋼牙は、反応が遅れた。
「ならぬ！」
「これは妖狼族に伝わる先祖代々より守られてきた、妖狼族の妖気を纏いし妖爪」
「貴様なんぞに扱える代物ではないわ！」
それを聞いた鋼牙の口角が吊り上がった。
そのまま取り出したので終わりというのでは、少々面白くないと思っていたところだ。
「面白れぇ……。なら俺がどれだけ強いか、味わわせてやるよ！」
鋼牙は突っ込んでいき、3つ首のうち1つの首に蹴りを入れた。
「やった……！」
粉々になった首を見て、白角が感嘆の声を漏らした。
しかし、すぐに首は再生し、鋼牙の足を眺めた。
「小僧……足に四魂の欠片を仕込んでいるな？」
「だったら何だよ。これは俺の足だ。文句あっか！」
「その欠片……。この世ならぬものに支配されておるな」
それを聞いた瞬間、鋼牙の脳内にかごめの声が再生された。
『翠子の意思が働いてるのよ』
「そして、この五雷指もまた、この世ならぬもの」
「貴様如きに扱えるわけがない！」
「ッ！」
3つ首のうち、1つの首が炎を吐き出した。
それを軽く避け、鋼牙は壁を走る。
「ははっ、きかねーなぁ！」
素早く後ろに回り込み、再び鋼牙の足が3つ首の下半身を砕く。
「砕いても無駄というのがわからんか！」
「持ち運びは便利になんだろ！」
その下半身を持ち上げ、銀太と白角の方へ、いやもっと後ろへ投げた。
もう1度3つ首は炎を吐いた。
それを華麗に避け、鋼牙は1つ首の後ろに回り込んだ。
「頂きだっ！」
鋼牙が五雷指に手を伸ばした瞬間、銀太と白角の叫び声が聞こえた。
後ろを振り返ると、先程鋼牙が投げた下半身が上半身と一体化し、2人に向かって炎をはいていた。
「こっ鋼牙―！」
「は、早く五雷指をー！」
目の前の五雷指と銀太と白角。
何方を取るべきかなんて、決まっている。
鋼牙は素早く2人を助けに走った。
「どちくしょおおおおお！！」
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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 神楽が死んじゃいましたからね。今思えば神楽も神無も可哀想ですよね (2017年9月3日 9時) (
レス) id: fac1f46ec3 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 次は神無か〜 (2017年9月2日 21時) (レス) id: 84688a4b7b (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - にんじんさん» どうやって夢主を馴染ませていこうか、まだあれこれ頭を悩ませています。更新ペースが遅くなるかもしれませんがお付き合いくださいっ (2017年8月23日 8時) (レス) id: fac1f46ec3 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - もう、完結編なのかクライマックス楽しみにしています！ (2017年8月23日 0時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月22日 16時
