313話 ページ22
「他の誰も、琥珀くんの代わりにはなれないのよ」
「弥勒でも珊瑚の寂しさを埋められんという事か！？」
「言っておきますが、私の代わりもいませんよ」
弥勒の肩に乗っている七宝が呟いた言葉を聞いた弥勒は少しだけ悲しそうな顔をした。
こんなしんみりした雰囲気がいつまでも続くのかと思われた矢先、犬夜叉とAの鼻腔をくすぐった、風が運んできた臭い。
2人は顔を見合わせた。
「おう、もういいか」
「今、微かに風が運んできた……」
「何を？」
「奈落の瘴気と……神楽の血」
「えっ！？」
Aは拳を握り締めた。
「もしかしたら……」
掠れた声が出た。
唇が微かに震える。
「あぁ……。しぶといアマだが今度ばかりは……」
「神楽は、俺を逃がしてくれた……。まさか、それのせいで！？」
「わからん。だから確かめに行くぞ！」
Aの喉が微かに上下に動いた。
握りしめられた拳がだんだんと蒼白くなっていく。
その手をそっと包み込んだのは、かごめの手だった。
｡:*+゜゜+*:.｡.*:+☆｡:*+゜゜+*:.｡.*:+☆
神楽は1人、花畑に降り立った。
ふらふらしながら歩いていたが、やがて歩けなくなり、座り込んだ。
(これからどこへ行く……？)
空を見上げると、視界の隅に鳥が映った。
(どこへでも行ける。私は、自由だ)
腕に力を込める。
だが、瘴気に蝕まれているせいで力が入らない。
(くそ……。体が思うように動かねぇ)
空を映していた神楽の瞳は、いつの間にか足元の花を映していた。
――パキッという微かな音がした。
顔を上げると、殺生丸が神楽の瞳に映った。
「殺生……丸！？」
「奈落の瘴気の臭いを追ってきた」
その言葉を聞いた時、神楽の表情は悲しそうな笑顔になった。
「ふっ……。がっかりしたかい。奈落じゃなくてよ」
「お前だとわかっていた」
神楽の胸に、何かがこみあげてくるのが分かった。
目頭が熱くなり、喉の奥から嗚咽が漏れそうになる。
「そう……か」
唇は微かに震え、必死に絞り出した声は掠れていた。
(わかっていて……。来てくれたのか)
目頭は熱くなったが、涙は溢れてこなかった。
殺生丸は天生牙に手を伸ばすが、その手をひっこめた。
(天生牙では救えん)
もう、手遅れだ。
「……行くのか」
「あぁ、もういい……」
神楽は顔を上げ、殺生丸を見つめた。
顔は、笑っていた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 神楽が死んじゃいましたからね。今思えば神楽も神無も可哀想ですよね (2017年9月3日 9時) (
レス) id: fac1f46ec3 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 次は神無か〜 (2017年9月2日 21時) (レス) id: 84688a4b7b (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - にんじんさん» どうやって夢主を馴染ませていこうか、まだあれこれ頭を悩ませています。更新ペースが遅くなるかもしれませんがお付き合いくださいっ (2017年8月23日 8時) (レス) id: fac1f46ec3 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - もう、完結編なのかクライマックス楽しみにしています！ (2017年8月23日 0時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月22日 16時
