200話 ページ7
(そういや、結界のせいとはいえ何で妖力が消えた？ っていうか琥珀と神無は何でここにいる？)
神無は『無』の妖怪だ。
気配も匂いも妖気すらない神無は、こんな所も出入り自由だ。
そして琥珀は人間。元々出入り自由だ。
だが、奈落に忠実な2人が、なぜ奈落の傍ではなくこんな所にいるのか。
「神無、琥珀、なぜここにいる？ そして、私をどこに案内しようっていうんだ？」
「白心上人が……Aを待っている」
「は？」
白心上人なんて聞いたこともない。
Aは頭を抱えて考えるが思い出せない。
いや、そもそも知らないのだ。
「いや私白心上人とか知らんわ！？」
「貴女が知らなくても、白心上人が知っている」
神無は琥珀と共に、白霊山の洞窟へと入っていく。
「わ、私は行かないからなっ！」
そんなことを言っても、琥珀も神無も止まらない。
やがて、2人とも闇に飲まれて消えて行った。
「……待ってぇー！」
洞窟の中は薄暗く、何故か妖気が渦巻いていた。
「なあ、奈落はどこだ……って、教えるわけないかー」
「奈落は、下にいる」
「え」
「でもまだ、動ける状態じゃない」
「おっおい！」
神無はそれだけ言ってまたどこかに歩いて行った。
神無と下を交互に見て、仕方なく少しだけ下を覗いてみた。
「ッ！」
確かに奈落は、底に居た。
顔だけだが。
Aと目が合った奈落は、ニヤリと笑った。
その顔にむかついたAは、たまったま足元に落ちていた石ころを奈落に向かって投げた。
……当たらなかったが。
また笑われた気がしたので、Aは奈落に向かって中指をたてた。
「さーてと。神無ー待ってー！」
神無の後を追って走っていくA。
奈落は少しだけ。ほんの少しだけ。本当に少しだけ。
いやマジで少しだけだってば。
悲しそうな顔をしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか？ (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月8日 20時
