242話 ページ49
神楽より前進んでいた妖怪たちが、石になり始めたのだ。
神楽は間一髪で避けるが、均衡を失って地面に落ちてしまう。
「あぶねぇっ。あの光を浴びると石になっちまう！」
Aは素早く火鼠の衣を脱ぎ、自分の背中にかぶせて犬夜叉を守るように抱きしめる。
「通りたいのか？」
牛頭が神楽に聞いた。
神楽は震えながら言葉を紡いだ。
「だっ……誰が通るか！ バカヤロー！」
「ならば……」
「門を閉じよう」
門は閉じ、牛頭馬頭もただの石像に戻った。
それを確認したAは、サッと犬夜叉から離れ、火鼠の衣を着ようとした。
「いただきますぞ！」
「うぇ！？」
どこからともなく現れた冥加が、Aの火鼠の衣を奪っていく。
「あ、ちょ！」
自分の何十倍はあるであろう火鼠の衣をもって、冥加はとっととどこかへ行ってしまった。
傍から見れば、火鼠の衣が飛んでいるようにしか見えないが。
火鼠の衣を取られ呆然としているAの傍に、皆が来た。
「結局通れなかったわね」
「まあ、これでよかったのではないですか？」
「また別の方法があるだろ。んで、姉貴はいつまで固まってる！？」
「今日が満月だからって、ひどくないか？」
いつまでもメソメソしているAを引き摺って、犬夜叉一行は火の国の洞窟から出た。
今日はとりあえず満月だし、このままゆっくりしようということで落ち着いた。
日が暮れて来てAは人間の姿になった。
「あの世とこの世の境……か」
「最後の四魂の欠片がそこにあるとして、どうやって奈落はそれを手に入れるんだろう」
「奈落が手に入れるんじゃねぇ。俺たちが先に手に入れるんだ！」
「……そうだね」
「おい姉貴、いつまでメソメソしてんだよ」
「冥加、殺す……」
三角座りをして、目に涙を一杯溜めたAの目は、恨みがこもっていた。
半袖でもよかったが、どちらかと言えば長袖の方が良かった、と皆は心の中で同時に思う。
今回ばっかりは、冥加に拍手を送りたかった。
「でも、黒真珠もないし、あの火の国の門は使えないし、一体どうやってあの世とこの世の境に行くつもりなのかしら」
「恐らく『血の川』だ」
それまでメソメソしていたAの顔は、すっかり『奈落殺す』状態になっていた。
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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか？ (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月8日 20時
