198話 ページ5
「今その女妖怪がどこにいるのかわからん。ワシが覚えとるのは、あの女妖怪は美しく長い髪を持っとったことだけじゃ」
「それ以外は、何も覚えてないのか？」
その言葉を発したのは、Aだった。
自分の首を絞めている様なものだが、十数年前は妖怪にとっては一瞬だが、人間にとってはかなり前の事になる。
覚えているわけがない。
「特徴とか、声とか」
「なぁーんも覚えとらん。美しく長い髪を持っとったことだけじゃ」
「そうか……。まあ、何にせよその亡霊と直接関わらないといけないみてえだな」
Aは歩き出した。
犬夜叉は急いでその後を追いかける。
かごめ達は村人に挨拶し、犬夜叉とAの後を追う。
「姉貴、どこ行くんだ？」
「まずは、亡霊たちを探さないとな。でもその前に、皆に報告したいことがある」
先頭を歩いていたAはくるりと振り返り、深刻そうな顔をして歩を止めた。
驚くほどの真剣な顔に、皆は息をのむ。
「悪いけど、私ちょっと別行動させてもらうわ！」
先程の深刻そうな顔は何だったのか。
朗らかな声と変わらぬ笑顔で、Aはそこに佇んでいた。
「……はあ！？」
「わりーな。ちょっと独自に調べたいこともあるし、私事に皆を巻き込むわけにもいかないだろう」
「いや、先程の深刻そうな顔は一体なんですか！？」
「雰囲気を出そうと思った」
「そんなもんいらんわ！」
「落ち着け犬夜叉」
犬夜叉はAの胸ぐらをつかみ、今にも殴りそうな勢いで拳を振り上げた。
それに驚くことはなく、Aは相変わらずの笑顔だった。
「犬夜叉、どうどう」
「俺は馬かッ」
「犬だろ」
犬夜叉はすっかりAに遊ばれていた。
「まあ、調べ物が終わったらすぐに帰ってくるさ。それまで、少しお別れだな」
犬夜叉の手をどかせ、軽く手を振ってAは道から外れて森の中へ歩いていく。
誰も止めることはなく、その背を見送った。
犬夜叉だけが、納得いかないと言いたげな顔でいた。
「Aちゃんが単独行動なんて珍しいね」
「まあ、たまには良いのではないですか？」
「ずっと犬夜叉の世話をするのも飽きるじゃろうしなー」
「何で俺が世話される前提なんだよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか？ (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月8日 20時
