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223話 ページ30

「姉上を離せ!」


しかし、闘鬼神の力も結界によって阻まれ、Aは救出できなかった。


「殺生丸、貴様の剣の力、そっくりそのまま返してくれるわ」


「ッ殺生丸! 避けろ!」


Aが忠告したにも関わらず、殺生丸は突っ込んできた。


(ちょっ……ンの馬鹿!)


Aは何とか体をねじり、奈落の方を向く。


息を深く吸い込み、自分の体を固定している触手(でもないような気もするけど)を引きはがす。


「ッ!?」


「何驚いてやがる。強くなったのがお前だけだと思うなよ? っつーか、お前本当に今すぐ蛮骨と一緒のところに行きやがれ!」


驚いて固まっている奈落の顔に、きれいにAの拳がめり込む。


衝撃で結界が解け、少しだけ浮いていたせいでAの体が浮遊感に包まれる。


受け身の体制をとれず、まともに衝撃を食らうかと思いきや、殺生丸に抱えられ、事なきを得た。


「殺生丸、ありが……」


「姉上!!」


(あ、これめんどくさい奴だ)


殺生丸の数歩後ろにいる邪見は口を開けてポカンとしている。


開いた口が塞がらないとは、このことか。


「お怪我はありませんか? 奈落に何か、されませんでしたか!?」


「うん。大丈夫だから。そんなに心配しなくても大丈夫だから!」


「そう、ですか……」


殺生丸は、ぶっきらぼうで、犬夜叉にはとことん冷たくて。


前なんか、自分の歩く道に人間がいるだけで殺していた。


邪魔、という理由だけで。


でも今は違う。


りんと会ってから、殺生丸は大きく変わった。


Aはそっと殺生丸の頭に手を伸ばし、静かに撫でた。


「あ、姉上?」


「いや、殺生丸はいい子だなぁと思って」


「っ!?」


殺生丸の焦る姿など、一生に何度見れることか。


邪見でさえ見たことがないだろう。


尤も、この中で一番殺生丸と付き合いが長いのはAだが。


「殺生丸!?」


「あ、犬夜叉」


殺生丸の元から離れ、犬夜叉のところに行こうとすると、殺生丸に腕を引かれる。


あっという間に捕らえられたA。


(待って。第2の奈落かな!?)


「おい殺生丸。てめえ……姉貴を返せ!」


「姉上はお前のものではない」


「いや誰のものでもないですけど!?」


っつーか肩が溶ける……。


Aの顔は青くなっていった。


こんな場面では普通赤面するのが女の子の仕事なのでは、と思うが、どうしても殺生丸の毒華爪がときめきより恐怖を与えてしまう。

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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか? (2017年8月14日 9時) (レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!! (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜餅 | 作成日時:2017年8月8日 20時

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