220話 ページ27
巨大な肉壁の中を移動し、やっと顔を出せたと思ったら、そこも肉壁だった。
(これ、奈落のだよな。ちょっとまって吐きそうなんだけど。おえー)
「Aちゃん！」
下からかごめの声がした。
下を見ると、かごめと七宝が立っていた。
何日ぶりだろうか。顔を見るのは。
「かごめちゃん。七宝！」
再会を喜んだのも束の間。
Aのすぐ上の天井みたいなのが、微かに動いた。
「よ、妖怪じゃろか……」
「さあ……」
「妖怪なら、殺すまで……だけど違うだろうな多分」
「その声は、かごめ様と七宝とA様か！？」
上から声が降って来た。
不思議がっていると、飛来骨らしきものが突出し、穴が開いた。
そこから顔を覗かせたのは、弥勒と珊瑚。
「弥勒様、珊瑚ちゃん！」
皆無事だったことに安堵の息を吐くA。
犬夜叉も無事だろうか。
「犬夜叉！」
「かごめ……ッ！」
Aが犬夜叉に声をかける前に、奈落の肉に捕らえられた。
それは弥勒と珊瑚も一緒で、かごめと七宝も捕らえられた。
そして、奈落(の顔だけ)が現れた。
奈落の近くには、同じく肉に捕らえられた蛮骨がいた。
(蛮骨ッ……。終わったのか)
「蛮骨……」
「死んでいるのか」
蛮骨の体に入っているのは、今は左腕の1つだけ。
それが取られればそれでおしまい。
蛮骨は再び永い眠りにつき、もう二度と起き上がることはないのだろう。
だが、それを目の前で見るというのは、キツすぎる。
「お、おらたちも鋼牙の様に食われてしまうんじゃろか」
(なんだって！？)
「くくく、何を言う。犬夜叉やAの如き半妖、か弱き小妖怪……」
「おらの事かッ！？」
七宝は泣いて、かごめに抱き着いた。
「ましてや人間など、この奈落の力を弱めるだけ」
奈落は喉の奥でクツクツと笑った。
Aは奈落を睨みつけた。
なら、一体何のために捕らえたというのか。
「くくく……。人間というのは実に愚かだ。蛮骨も、仲間の欠片を全て体に入れた後、仇討ちなど考えずに逃げればよかったのだ。全く、人間には反吐が出る」
奈落は笑いながら蛮骨の腕の欠片を抜いた。
骨になった蛮骨は、ガラガラと崩れ、落ちて行った。
Aの中で何かが切れた。
肉の内側で桜を抜き、自分を捕えている肉を切り裂き、奈落に向かっていく。
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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか？ (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月8日 20時
