219話 ページ26
殺すために生き、殺されるために死んでいく。
それだけだと思っていた自分たちに光が当たったのは、Aが仲間になってから。
血に塗れた1輪の花。
でも、その血でさえ自分の一部だと言った。
『自分についたものは全部自分のもの』
笑いながら1輪の花はそう言った。
光であり、花であり、希望であった彼女に二度と会えなくなったのは、自分たちが悪い。
(もし、殺し屋と半妖として出会ったんじゃなく、1人の男と半妖として出会ったのなら)
また違った未来もあったかもしれないし、今ここにこうして生きているのが四魂の欠片の力じゃなく、自分の力で、だったかもしれない。
今更そんな事であれこれ考えたって遅い。
悩んだってどうしようもない。
(クソ……。なんで出会っちまったんだろうなぁ。俺らは！)
Aの肩を掴んで胸から引きはがし、Aの顔を見た。
「A、笑えよ」
「……は？」
「最後に見たお前の顔がまた泣き顔とかもう嫌なんだよ。最後くらい、笑顔で見送ってくれよ」
蛮骨はもう戻れない。
逃げることもできない。
奈落の意思に従って、奈落の体が出来上がるまでの時間稼ぎとして動いて。
そして、奈落に欠片を返して死んでいく。
それだけのために生き返った短い命。
「もう泣き顔は嫌なんだよ。だから、笑え！」
「……ッ！」
Aは暫く戸惑った後、蛮骨に向かって微笑みかけた。
涙はいくつも流れて言ったけど、そんなことは気にしないで。
「いって、らっしゃい」
「……あぁ」
蛮骨はAのおでこにそっと口づけし、耳許で愛してる、と囁き、歩いて行った。
Aが振り返った時にはもう、蛮骨の背が小さくなり、やがて洞窟の闇に飲まれて消えた。
「蛮骨……ッ！」
追いかけてはいけない。
わかっているのに本能が足を動かしてしまう。
「行かないで……ッ！」
洞窟に一歩足を踏み入れた瞬間、何かに躓いて転んだ。
(また)頭をぶつけるのかと思いきや、今度は顔面強打である。
特に鼻を強く打った。
「〜〜〜！」
何でこうなるんだ。
そう思って1人でイライラして、立ち上がろうとした時。
体が沈んだ。
周りの岩に手を伸ばすも、その前に体沈む。
しかも、周りは最早岩ではない。
巨大な、肉壁と化していた。
(蛮骨ッ……犬夜叉……)
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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか？ (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月8日 20時
