217話 ページ24
犬夜叉の匂いが離れて行った。
きっと、犬夜叉はそれほど急いでいたんだろう。
Aは犬夜叉がいたであろう場所に向かった。
そこには、骨になった蛇骨らしきものと、煉骨が立っていた。
「何しけたツラしてんだよ」
蛇骨の欠片を取り、その欠片と睨めっこをしていた煉骨の背を、Aは軽く小突いた。
「蛇骨は、苦しんでたか？」
「微笑みかけた。俺に……。そして、一度でいいからお前とゆっくり話がしたかった、と」
「そうか……。私だってゆっくり話したかった」
蛇骨の骨をそっと撫でる。
もう、二度と肉体を取り戻さないことを願って。
もう、二度と起き上がることがないよう願って。
もう、二度と蛇骨刀を握らないよう願って……。
Aは静かに目を閉じ、手を合わせた。
瞼に思い浮かぶは、10数年前の蛇骨の無邪気な笑顔。
最初は嫌われていたけれど、それでも少しずつ距離を縮めて行った。
(二人で協力して捕まえたあのウサギ……。美味しかったね)
Aの目から涙が零れる。
暫くすると、必死に我慢していたのに口の端から嗚咽が漏れる。
涙が止まらず、服にいくつもの染みを作った。
煉骨は、ただ黙って背をなで続けた。
「ありがと。大分落ち着いた」
「まだ目許、赤いままだけどな」
「はは。大丈夫。それより煉骨、お前はこれからどうする」
「俺は、どんな手を使ってでも生き延びてみせる」
煉骨はそういうと、首に欠片を入れた。
Aは、ふ、と笑って煉骨を見つめた。
「生きてくれ。私の目の前で、死ぬな」
「あぁ。わかってる」
それより、と煉骨は続けた。
Aのおでこを小突き、その後で頬をなでた。
「お前はその目の腫れをどうにかしろ。物凄く酷い顔になってるぞ」
「うぇっうっそ！」
「本当だ」
「待ってよー。そんなんじゃ、蛮骨にも犬夜叉たちにも顔向けできないじゃん！」
煉骨に背を向け、必死に目許をさする。
かなり痛い。
「おいちょっと待て。大兄貴はわかるが、なぜ犬夜叉の名前が？」
「え」
Aは振り向き、もう一度『え？』と呟いた。
「言ってなかったっけ」
「何を」
「犬夜叉は、私の弟だ」
煉骨は、今世紀最大の衝撃だと言わんばかりの衝撃を受けた。
叫び声は洞窟全体に響き渡るほどで、Aは片目を瞑って耳をふさいだ。
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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか？ (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月8日 20時
