215話 ページ22
「なーA」
「何？」
「首絞まってる」
「え、嘘」
いつの間にか力を入れすぎてしまったせいで、蛮骨の魂が半分出てしまっていた。
急いで腕の力を緩め、深呼吸させた。
「大丈夫か」
「何とかな」
まだ若干白目向いてたり向いてなかったり。
おろおろするAを見つめ、少し微笑んで頭に手を置いた。
「人を小馬鹿にする態度、場違いなこと言ったり考えたりすること、いつでも余裕ぶっこいてるとこ、お前の悪い所だよな」
「直す気はないぞ」
「でも、その反面で俺らを本気で心配したり、ちょっとケガですぐ騒いだり、おろおろしたりするとこは、いいところだよな」
「直そうかな」
「いや反対だろ普通！」
まあでも、と蛮骨は続けた。
「お前はお前のままでいい。そのままで。な？ 俺がもう一回、お前の前からいなくなっても……」
「ッッ！」
Aは立ち上がり、蛮骨から逃れるように後ろに下がった。
俯いて泣きそうになった掠れた声を出し、叫んだ。
「その先言ったら……殴る！」
蛮骨は生きていてはいけない。
いずれ奈落に四魂の欠片を取られ、死んでしまう。
わかっている。わかっているけれど。
いざ言葉にされ、言われると辛いのだ。
Aは顔を上げ、涙を流しながら言った。
「し……ぬな。生きろ。そして、逃げろ！」
それだけ言うと、踵を返して森の中に走っていった。
蛮骨は追いかけようと手を伸ばすが、その手をひっこめた。
下を向き、目を瞑る。
「はは……生きろっつったり殺してやるっつったり……」
蛮骨の頬を、温かい液体が流れていく。
頬を伝って、掌に落ちる。
「どっちなんだよ……！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか？ (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月8日 20時
