211話 ページ18
銀骨の四魂の欠片を使って傷を治した煉骨は、立ち上がった。
「行くのか？」
「あぁ……。俺は、どんな手を使ってでも生きてやる」
「もし生き残ることができたら、全力で逃げろ」
「……どういう意味だ」
「そのままの意味だ。もし生き残ったら、私が全力をもってお前の欠片を奪いに行く」
Aの冷たい声に、煉骨の背に冷汗が流れた。
たとえ生き残ったとしても、Aに殺されるというのだ。
1つ瞬きをしたときには、もう笑顔のAがそこに居た。先程の冷たい声は何だったのか。
「行ってらっしゃい」
Aは煉骨に近づき、襟を掴んで思い切り自分の方に頭を引き寄せた。
煉骨には意味が分からなかったが、すぐに何をするつもりだったのかを理解した。
「ッ……」
頬に当たる柔らかい唇。
首に回された細い腕。
抵抗する気にはなれなかった。
だから、すぐにAが離れた時、少し寂しいと感じたのだ。
「まあ、せいぜい死ぬなよ」
歯を見せてニカッと笑うA。
その小さな顎を掬い上げ、煉骨は己の顔を近付けた。
「え……」
Aが驚いて瞬きをしたその一瞬で、2人の影が重なった。
奈落の様に抵抗することはなかったが、驚いたせいで煉骨の腹に軽く1発入れてしまった。
「あ……。ごめん」
「そんなに嫌か……！」
「いや驚いただけだから」
煉骨は腹を押さえて蹲った。
その横に座り込んで背をさするA。
「驚いただけ、の割には結構痛いぞ」
「だからごめんって」
(なぜ抵抗しなかった……？ 好きでもないやつに口づけされてるのに……。痛い。俺の心が痛い)
「いつまで痛がってんの。ほら、犬夜叉とか殺しに行くんだろ」
無理やり煉骨を立たせ、トンッと背を押す。
振り向いた煉骨の瞳には、笑顔で手を振るAの姿が映った。
次は何もせず、煉骨は歩いて行った。
犬夜叉たちを殺すために。
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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか？ (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月8日 20時
