210話 ページ17
鋼牙は煉骨の首の欠片を狙って、煉骨の左肩を引っ掻いた。
(こいつ……。俺の欠片を狙って！)
煉骨は瓢箪の中身を呷り、炎を出す。
その後すかさず銀骨の砲台で鋼牙を狙うが、砲台に何かが詰まっているようで、中で爆発を起こした。
「何っ！？」
「バカが……。砲台の中身を詰めておいたんだよ！」
(いつの間に……。いや、考えてる時間はねえ！)
煉骨は銀骨の首の欠片を取り、Aの体を抱えて飛んだ。
煙のおかげで銀太、白角からは煉骨が逃げていく姿は見えなかったようだ。
力の限り走った煉骨だが、やがて力尽き、倒れた。
「くぅ……」
相変わらず左肩から血が出てきて、ズキズキと痛んだ。
(何とか銀骨の四魂の欠片を取ってAを抱き上げたはいいが……)
自分も結構な重症で、よく女1人抱えられたな、と改めて自分に感心した。
自分だけで手一杯でAにまで気を回せなかったが、自分の上に覆いかぶさるように寝転んでいた。
勿論意図的ではない。
(あの時はあまり気にしていなかったが、中々……)
気にしていなかったというか、全然目に入っていなかったというか。
今自分の上で呑気に寝ているのは、10数年前に別れた女。
蛮骨と両思いだということを知り、人生で初めて泣いたかもしれなかったあの日の事は忘れない。
煉骨はそっと手を伸ばし、髪をなでた。
「ん……」
「……起こしてしまったか」
「いや、別に。っつーか変な夢みたぁ」
「どんなだ」
「煉骨と思いっきり(ピー)で(ピー)……」
「わかった。もういい」
これ以上はいかがわしすぎて(ピー)音だらけになる。
「煉骨と両想いとか恋だとか、ありえないしね」
『ありえない』
その言葉は思いっきり煉骨の胸に突き刺さった。
真っ向否定だ。
「煉骨とは、多分恋仲にはなれないよ」
(もうっ、やめろ……。俺の心は折れた)
煉骨の目頭が熱くなった。
口から嗚咽が漏れそうになる。
「でもね、煉骨の事は大好きだぞ。頭いいしいい兄貴分だし。ほら、私の弟の話覚えてないか？ どっちもなんだか見事にかわいくねーって奴」
「あ、あぁ……」
「でもな、七人隊の皆は私にとっちゃ、弟みたいなもんだよ。とても可愛くて。でも蛮骨もいいけど、煉骨の方が可愛げあったなー」
煉骨はその言葉を聞いた時、先程とは別の意味で目頭が熱くなった。
漏れそうになる嗚咽を、必死に我慢する。
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桜餅(プロフ) - にんじんさん» 会うと別れがつらくなる、ということであまり絡ませられませんでしたけど、如何でしたでしょうか？ (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 4f9d801cbe (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 蛮骨うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜餅 | 作成日時：2017年8月8日 20時
