この子、彼氏じゃなくて夫です 2【松野千冬】

しゅきぴ50 ページ3

ある日。


今日は一日中太陽が照ってて、すごく暑かった。


のに。暑かったのに。





「うわ、雨降ってる」

「最悪。俺傘持ってねえよ」

「親に迎えきてもらおー」





急に雨が降り出し、しかも止みそうにないほど強く降っていて。


天気予報でも言ってなかった雨にみんな戸惑っている様子。

私も傘を持っておらず、どうしようかなと悩んでいるところだ。



もう下校時刻なので、早く帰らないといけない。





「ごめんA、待たせた！！」

『ううん。…話終わった？』

「おう。帰るか…とは言えない雨の量だな…』




呼び出されてた千冬くんと合流したら、今度は2人で空を見上げる。

呼び出し、先生とかかな？聞いたけど、教えてくれなかった。




『走ろう。私と千冬くんの脚力なら雨避けて帰れるよ』

「雨避けるって……A天才か！！！」

『でしょ！！』



ぱああっと顔を輝かせる千冬くん。だけど、「でも」と言葉を紡ぐ。




「Aの家の方が遠いから、一旦俺の家寄って傘貸す。雨強かったら弱まるまで家にいていいし」

『…じゃあ、傘は借りようかな』




優しすぎて爆死。

なんなんマジで。千冬くんそういうところあるよね？好きです。




2人でクラウチングスタートとして、ダッシュで学校を出た。








・






おい雨避けれるとか言ったの誰だよ！！！天性のばかじゃん！！！

そのままダッシュで帰れると思ったら、運悪くどこの信号も止まり、なんなら車に水かけられて制服びちゃびちゃだし！！！



周りの人はコンビニで傘を買ったのか、割とみんな傘持ってた。

私と千冬くんめっちゃ濡れてて普通に恥ずかしいんですが。




「A、寒くないか？…これ着とけ」

『え、ありがと……ってこれ、特攻服じゃん？！いいよ、こんな大事なもの！！』

「俺雨の日の喧嘩とかで普通に濡らしてたから大丈夫だ」




なんで持っているのか聞いたら、糸がほつれかけてたからいつか話した三ツ谷くんさんが直してくれたのを今日朝もらったらしい。

いや、雨に濡れたら生地ダメになる！！！あと千冬くんの匂いがして頭がパンクしそう！！！

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