甘い。 (ページ4)

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りっちゃんside

親友のAとは中学からの付き合いだ。

ただ単に気があって中学では同じバスケ部に入り
高校も同じところに行こうって、県内一のマンモス校に入学した。

中学生の頃から低身長、可愛い、優しい、のモテ要素しかないAはモテないはずがなくて…。

そんなAに告白をして振られる男は何人も見てきた。

高校でもバスケ部に入った私たちだが、
やっぱり低身長で可愛いAが群を抜いてモテている。

高身長の私とは正反対のAが羨ましいこともあったが、仲の良い私だけに見せる少しそっけない態度が、
可愛くて可愛くてそんな感情もどこかに置いてきていた。

｢ねえ、りっちゃん。あの人たち何してるのかな｣

｢ほんとだ。怖いね笑｣

高校1年生の5月のこと。

きょうの部活は1年生だけ、しかも女子バスケ部オールコートの日。

とコーチに伝えられ少し気分が上がりながら練習をしていた時

体育館の扉のところに、サッカー部らしき人たちが
むらがってこちらをキョロキョロしながら見ているのがわかった。

｢あの、どうかされましたか？｣

私がそう聞くといや、なんでもないです。と言いながらまだ中を見ていた。

『お前らまじでうるせーよ。』

"えー、めめの好きな人気になるやん！"

"めめの好きな子どの子？あ、あの奥の子？"

何やらめめという男の子の好きな人はバスケ部にいるらしい。

『そう、奥の子。一目惚れした。』

｢え！あのポニーテールで髪の毛くるくるしてる子？｣

｢めっちゃ可愛い！何あの子、何組？！！｣

『2組の村上Aちゃん。ふっか先輩に聞いた』

A……？

｢あのー、Aのこと呼びましょうか？｣

『え、や、いや、大丈夫っす』

そんな彼をよそにAを呼ぶとびっくりした顔で
こちらへ走ってきた。

｢りっちゃん、どした？｣

｢あー、えっとね。この人がAのこと『いや、やめてくださいよ笑』

そう言って笑う彼の顔は少し照れていてなんだか
こちらまで恥ずかしくなった。

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