#好きだ ページ26
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「せん、せ...」
声に釣られて振り返ると、そこにいたのは確かに田中先生で。
先生は何故か息を切らしてて、乱れた息を整えながらゆっくりとこちらに近付いてくる。ちゃんと顔を見たのは久しぶりだった。
「A、」
「は、はい...?」
「好きだ」
一瞬、息が止まった気がした。
え、なんて我ながら情けないぐらい掠れた声が漏れる。今、確かに好きって、でも何で、
「あ、いや...ごめん。Aのこと傷付けて、今更こういう事言うのもおかしいって分かってる」
「それに、俺とお前が教師と生徒ってのは変わらない事実だし、俺と付き合ってもみんなに隠し事したり、堂々と遊びに行けなかったり色々大変だと思うけどさ、」
「...俺は、Aのことが好きだ。ごめん、あの時素直に言えなくて」
嘘だと思った。これは夢なんじゃないかって。でも先生は見たことないぐらい真剣な表情を浮かべていて、しっかりと私を見詰めてて、嘘じゃないんだって、思った。
「...A、?」
「っ...先生のばか...!」
「え、ちょ、!」
私は思わず先生に抱き着く。先生にフラれてからどれだけ辛くても涙なんて出なかったのに、今はポロポロ零れてくる。
先生の胸元に顔を埋めてぐすぐす泣けば、上から降ってくる大好きな優しい声。
「泣かせてごめんな」
「ほんとですよ...そんなんだから70点教師って言われるんです...っ」
「え、俺そんなこと言われてんの?」
なんて言いながらぽんぽん頭を撫でてくれる先生の優しさがほんとに嬉しくて、それなのに涙が止まらなくて、どうしたらいいのか分からない。
でも、ひとつだけ先生に言いたいことがある。私は涙を拭って顔を上げ、ちゃんと先生の顔を見て言った。
「...先生、大好きです、!」
それを聞いて先生の顔が真っ赤になったのは言うまでもない。
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青龍 葵(プロフ) - まるる。さん» 態々、お知らせして頂き有難う御座います。 (2019年7月7日 17時) (レス) id: 2dfc35dd30 (このIDを非表示/違反報告)
まるる。(プロフ) - 青龍 葵さん» 移行先は明日投稿してこちらでお知らせするので、もう少し待っててください(>_<) (2019年7月6日 19時) (レス) id: 96c7a89dfd (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 後、少しで終わっちゃうと思うと寂しいですが、続編などあればと思いながら移行先は何処にあるんでしょうか? (2019年7月6日 16時) (レス) id: 2dfc35dd30 (このIDを非表示/違反報告)
まるる。(プロフ) - ひるくさん» ありがとうございます!!結構力入れて書いたのでそう言っていただけて嬉しいです...。これからもよろしくお願いします! (2019年6月30日 16時) (レス) id: 96c7a89dfd (このIDを非表示/違反報告)
ひるく(プロフ) - 最新話……最新話最高です……ありがとうございます……沢山読み返して胸キュンに浸ってます!これからも応援し続けます頑張ってください! (2019年6月30日 13時) (レス) id: bbffd7f7da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるる。 | 作成日時:2019年6月16日 10時