先 生 、好 き で す 。【俺スカ】

#頼れ ページ38

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何度殴っても立ち上がる原田先生が怖くなったのか、明智くんは数歩後ろに下がる。先生はフラフラと距離を詰める。



｢何で...何で止めねぇんだよ！！お前俺より強ぇだろ！？やり返してくれよ...｣


｢やり返さないわよ！約束したじゃない、世の中には約束を守る大人もいるってことをアンタに教えてんのよ！！｣



それを聞いて明智くんの目がうるうる揺れる。今まで見たことのない明智くんの表情に、私は思わず拳を握った。



｢頼りたくないなんて一丁前なこと言ってんじゃねぇよ｣


｢...俺らそんなに頼りないかな？でも俺は明智を信頼してる。だからさ、明智も信頼してくれよ｣


｢っ...｣



東条くんの言葉に明智くんは俯き原田先生を突き飛ばす。そしてまた拳を振り上げた。

でも、それは原田先生によって止められる。



｢人殴ってこんなに震えてるんだ。お前は父親とは違うよ。全然違う。さっき一緒って言ったけど前言撤回。
困ったことがあったら頼れ、どうせ大人になったら頼りたくたって頼れなくなるんだ。だからそんな大人の真似しなくていいんだよ。

頼れ、明智！｣



そう先生が叫んだのと同時に、明智くんの目から、涙が零れた。明智くんはそのままその場に膝をつく。



｢...のぶおには頼んないけど｣


｢え？なに？のぶお？大きな声ではい！｣


｢うるせぇよ！｣



また明智くんは原田先生を突き飛ばす。でもさっきとは違って、その力は軽かったように思えた。



｢...明智！｣



グッと明智くんの肩を抱く東条くん。みんなも明智くんに駆け寄る。

明智くんは袖で涙を拭い、気の抜けた笑顔を見せた。







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