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連れてこられたのは屋上。
三橋くんは手を掴んだまま、何も言わずに私を壁に押し付けた。
「へ...」
顔の横には三橋くんの手。顔の距離が近い。目に前髪がかかってるから表情がよく分かんないけど、私をじっと見てるのは確か。
「み、三橋くん...?」
「...何で急に化粧なんかしたんだよ」
やっと口を開いたかと思えば聞こえたのはいつもより低い声。少し怖いと思ってしまった。
「そ、それは...」
「何、他に好きな奴でも出来た?」
「...え?」
「モテてぇからそういう事したんじゃねーの」
そう悲しそうに言う三橋くん。だめだ、誤解してる。照れくさいけど、ほんとの事言わないと。覚悟を決めて小さな声で言う。
「その...最近三橋くんモテてるでしょ?三橋くんを好きって言ってる子、みんな可愛いし、私全然可愛くないから、いつか飽きられるんじゃないかって怖くて。
...化粧して少しでも可愛くなったら、三橋くん私の事見てくれるかなって」
「...お前さぁ、ほんと変なとこ心配するよな」
三橋くんは呆れたと言いたげな表情を浮かべ深く溜め息を吐く。
「へ、変なとこじゃないし!」
「安心しろ、Aは化粧なんかしなくても可愛いから」
「なっ...!」
「それと、」
___他の男の前で化粧とかすんなよ。
そう言うと三橋くんは私の頬に手を添え、唇を押し付けた。
突然の出来事に目を見開く。キス、された...?
「...俺は初めからお前しか見てねぇよ」
顔を離してそう言う三橋くん。ずるい。どうしてこんなにかっこいいの。
「...三橋くんのばか」
私は恥ずかしくなって、真っ赤になった顔を隠したくて、ぎゅっと三橋くんに抱き着いた。
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「ちょっとキスしただけで顔真っ赤になるとかAちゃんウブだなぁ」
「う、うるさい、三橋くんだってほっぺた赤いよ」
「あ、赤くねぇし!!そもそもお前が化粧なんかするから悪いんだろ!」
「別に化粧してもいいじゃん!」
「だめ!!暫く化粧禁止!!」
なんて子供っぽい争いをしている間に授業が始まってて2人してサボりその後先生に怒られたのは言うまでもない。
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ソウ - はじめまして!ソウです!読ませていただきました!めっちゃ面白かったです!これのおかげでまた今日から俺は大好きになりました!ありがとうございます!!( ≧∀≦)ノ (2019年8月21日 20時) (レス) id: 8344a9dd37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるる。 | 作成日時:2019年4月30日 14時