#42_M ページ42
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せっかくAと帰ろうとしてたのに伊藤に呼び止められてしまった。
Aの背中が離せていくのを見てから伊藤を睨むように見る。
「何だよ」
「お前、Aちゃんとまだ付き合ってねぇの?」
「そんな簡単に言うなって、俺には俺のペースがあんの」
「ダラダラしてるとAちゃん誰かに取られるぞ」
そう言われてハッとする。確かに、Aは胸はないけど可愛いし気遣いが出来るし、モテる。つーかそもそも俺の事好きなのかアイツ。告って今の関係が崩れんのだけは嫌だ、とか女々しいことを考える。
「...三橋、もっと自分に自信持てよ」
「うるせぇ、それぐらいわかってるわ」
そう言って学校から出る。
Aを誰かに取られんのは嫌。でも今の関係が壊れんのも嫌。かと言って男から告らねぇのもなぁ...。
なんて考えながら道を歩いていると、Aの背中が見えた。ちょうどいいや、一緒に帰ろ。
そう思ってその背中に駆け寄ると、Aの隣には谷川がいた。それもまぁ楽しそうに喋ってる。
2人を見てふつふつと湧き上がる黒い感情。
Aを取られたくない。俺以外の奴とふたりきりにならないでほしい。俺の事だけ、見ててほしい。
柄にもないことを思いながら気付いたらAの腕を掴んでた。
Aは目を丸くして俺を見る。そんな顔も可愛いと思ってしまうあたり俺重症だな。谷川は空気を読んで先に帰った。今回ばかりは感謝する。
何で谷川といたのか聞けば、相談乗ってもらってたと答えるA。相談なら俺にすればいいのに。俺に相談しないAにも、嫉妬してる自分にも腹が立つ。
俺はAの腕を掴んだまま歩き出す。
「...お前、谷川の事好きなの?」
ポロッと出てしまった質問にAは驚いたらしく、え?と声を漏らす。俺はそのまま話を続ける。
「相談するほどの仲とか知らなかったし」
「待って三橋くん、誤解してる。私谷川くんの事好きじゃないよ?」
そう言われて足を止める。てっきり好きなのかと思ってた。いや、あれだけ仲良さそうだったら誰でも思うだろ。俺は悪くない。
...けど、とにかくホッとした。
「相談してたことは言えないけど...ほんとに好きじゃないし、私は、」
少し俯きながらもごもご口を動かすA。
その姿が愛おしくて、俺はたまらず抱き締めてしまった。
あぁもう、どうにでもなれ。
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まるる。(プロフ) - 良ちゃんさん» コメントありがとうございます!相良くん全然出てこなくてすみません...(笑)素敵な小説だなんてもったいないお言葉ありがとうございます...!これからもこの小説をよろしくお願いします! (2019年5月23日 21時) (レス) id: 96c7a89dfd (このIDを非表示/違反報告)
良ちゃん(プロフ) - はじめまして。面白くて一気に読んじゃいました!相良推しなんですが、この小説の三橋君にキュンキュンさせられてしまいました(*´ー`*)素敵な小説ありがとうございます! (2019年5月23日 9時) (レス) id: 2652916fe0 (このIDを非表示/違反報告)
咲餅(プロフ) - あと評価1つ!!! (2019年4月21日 17時) (レス) id: ffacf9010f (このIDを非表示/違反報告)
牧さん - めっちゃ好き!!ただそれだけ (2019年4月21日 16時) (レス) id: 66f0eb62d2 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - 面白いです、更新頑張って下さい応援しています!!! (2019年4月6日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるる。 | 作成日時:2019年4月5日 14時