検索窓
今日:6 hit、昨日:33 hit、合計:142,838 hit

#42_M ページ42

.





せっかくAと帰ろうとしてたのに伊藤に呼び止められてしまった。

Aの背中が離せていくのを見てから伊藤を睨むように見る。



「何だよ」


「お前、Aちゃんとまだ付き合ってねぇの?」


「そんな簡単に言うなって、俺には俺のペースがあんの」


「ダラダラしてるとAちゃん誰かに取られるぞ」



そう言われてハッとする。確かに、Aは胸はないけど可愛いし気遣いが出来るし、モテる。つーかそもそも俺の事好きなのかアイツ。告って今の関係が崩れんのだけは嫌だ、とか女々しいことを考える。



「...三橋、もっと自分に自信持てよ」


「うるせぇ、それぐらいわかってるわ」



そう言って学校から出る。

Aを誰かに取られんのは嫌。でも今の関係が壊れんのも嫌。かと言って男から告らねぇのもなぁ...。

なんて考えながら道を歩いていると、Aの背中が見えた。ちょうどいいや、一緒に帰ろ。

そう思ってその背中に駆け寄ると、Aの隣には谷川がいた。それもまぁ楽しそうに喋ってる。

2人を見てふつふつと湧き上がる黒い感情。
Aを取られたくない。俺以外の奴とふたりきりにならないでほしい。俺の事だけ、見ててほしい。

柄にもないことを思いながら気付いたらAの腕を掴んでた。


Aは目を丸くして俺を見る。そんな顔も可愛いと思ってしまうあたり俺重症だな。谷川は空気を読んで先に帰った。今回ばかりは感謝する。

何で谷川といたのか聞けば、相談乗ってもらってたと答えるA。相談なら俺にすればいいのに。俺に相談しないAにも、嫉妬してる自分にも腹が立つ。

俺はAの腕を掴んだまま歩き出す。



「...お前、谷川の事好きなの?」



ポロッと出てしまった質問にAは驚いたらしく、え?と声を漏らす。俺はそのまま話を続ける。



「相談するほどの仲とか知らなかったし」


「待って三橋くん、誤解してる。私谷川くんの事好きじゃないよ?」



そう言われて足を止める。てっきり好きなのかと思ってた。いや、あれだけ仲良さそうだったら誰でも思うだろ。俺は悪くない。

...けど、とにかくホッとした。



「相談してたことは言えないけど...ほんとに好きじゃないし、私は、」



少し俯きながらもごもご口を動かすA。

その姿が愛おしくて、俺はたまらず抱き締めてしまった。







あぁもう、どうにでもなれ。









.

#43→←#41



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (78 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
218人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まるる。(プロフ) - 良ちゃんさん» コメントありがとうございます!相良くん全然出てこなくてすみません...(笑)素敵な小説だなんてもったいないお言葉ありがとうございます...!これからもこの小説をよろしくお願いします! (2019年5月23日 21時) (レス) id: 96c7a89dfd (このIDを非表示/違反報告)
良ちゃん(プロフ) - はじめまして。面白くて一気に読んじゃいました!相良推しなんですが、この小説の三橋君にキュンキュンさせられてしまいました(*´ー`*)素敵な小説ありがとうございます! (2019年5月23日 9時) (レス) id: 2652916fe0 (このIDを非表示/違反報告)
咲餅(プロフ) - あと評価1つ!!! (2019年4月21日 17時) (レス) id: ffacf9010f (このIDを非表示/違反報告)
牧さん - めっちゃ好き!!ただそれだけ (2019年4月21日 16時) (レス) id: 66f0eb62d2 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - 面白いです、更新頑張って下さい応援しています!!! (2019年4月6日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まるる。 | 作成日時:2019年4月5日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。