ふじ ページ14
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｢んふふ、しきぃ｣
そう言って私にくっついてくるフジ。
あれからフジの飲むペースはどんどん早くなり、すぐに潰れてしまった。
お開きにしようかという話になった時、キヨのスマホに着信が入って、
｢…悪いA。これから友達と遊ぶ事になったからフジの事頼むわ｣
そう言われて今に至る。
タクシーで何とかフジのマンションの下まで連れて行って貰ったはいいものの、部屋までが遠い。
｢フジ、ちゃんと歩いてよ｣
｢あるいてるあるいてる〜｣
私に体重を預けながら歩くのをやめてほしい。
いくらフジが細いからってちゃんとした男の人だしそれなりの重さだから支えられない。
｢やっと着いた…フジ、家の鍵は?｣
｢かぎぃ…かばんのポケットにあるよ〜…｣
｢ポケットね、ちょっと失礼｣
フジを何とか支えながら鞄を漁って鍵を取り出す。
｢ほら、入って入って｣
｢んー…｣
フジをソファーに座らせ、勝手にコップを取って水を注ぐ。
｢はい、ちゃんと飲んで。｣
｢ん…はぁ、ありがと｣
水を飲んだからか少し意識がハッキリしたらしく私の方を見て微笑む。
｢じゃあ私帰るよ?｣
｢え、帰んの…?｣
｢だって明日も仕事あるし…ね、今日の所は帰る｣
そう言って玄関に向かおうと足を動かす。
…それを止める様にフジが私の腕を掴んだ。
｢今日はもう遅いし、泊まってけばいいじゃん。明日早く起きて家に帰ればいいんだし｣
｢いや、でも…｣
｢いーからいーから、ね。｣
｢ちょ、フジ!｣
私の腕を掴んだままフジは寝室へ向かう。
｢ほら、おいで?一緒に寝よ?｣
ごろんと寝転んでその隣をぽんぽん叩くフジ。
ファンなら喜ぶんだろうなぁ、なんて思いつつ大人しく隣に寝転ぶ。
｢ふふ、Aと寝るの久しぶり｣
｢普通は付き合ってもないのに寝ないんだよ、仕方なくだからね。｣
｢それでも嬉しいからいいのー。｣
ぎゅっと抱き締められるのももう慣れた。
酔ったフジは平気でこういう事するからちょっと心臓に悪いけど。
｢はいはい。おやすみ、フジ｣
とんとん背中を叩き目を閉じる。
疲れてたのかあっという間に眠ってしまった。
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作者名：まるる。 | 作成日時：2018年7月31日 15時
