R物語 ( TH ) - 2

ep30 ページ30

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手を繋がれたまま無言でグクの隣を歩く


休日ということもあってお店が並ぶこの辺りは人が多く集まっている

小さな子どもを連れの家族やオシャレに気をつかっている中高生、仲のいいカップルなどで賑わっていた



並ぶお店に気を取られてすれ違う人とも時折ぶつかりそうになるのを、優しく腕を引いてグクの方に引かれて助けてもらう

そんな事を何度も繰り返して、漸くどこかに向かっていた私たちの足が止まった



今目の前にあるのは見覚えのあるお店





ここはたしか、
テヒョンが好きだったあのシホさんが働くカフェ

もしかしたら結婚してからこのカフェを辞めてしまった可能性もある



何も知らないグクは気にすることなくお店に入ろうとドアに手をかけると私も急いであとを追った





２ヶ月ほど前にテヒョンと来た時を思い出す

シホさんに会ったらテヒョンに報告してあげようって思ったけど今そういう雰囲気じゃないんだった




ベルを鳴らして注文を取りに来た店員さんはシホさんだった


結婚してから幸せなのか、前にここで見かけた時よりもずっと明るく見えて綺麗になっている


シホさんは私と目が合うなり、覚えていてくれたのか軽く会釈をしてくれた
私もつられるように会釈を返す




「さっきの人知り合い？」


注文を終えたあとにグクにそう質問されて私は小さく頷いた


「テヒョンの好きだった人なの」

「そうなんだ」



名前を出してハッとした
私ってば何も考えずに…




「綺麗な人だね」

「1ヶ月くらい前に結婚したの」



だから幸せそうに見えるのか、
と納得したように頷いた




カフェを出たあともずっとグクは会話を絶やさずにいてくれた

素直に笑えたし、楽しかった






だから思った


グクと別れて本当に後悔しないのかな、私








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