40 それでも怒られるものは怒られる ページ44
その日の夜。
主杯宅は重々しい空気を携えていた。
家の主人であるAが原因なのではない。
原因は、その家の住人のせいであった。
「……ほう？それで貴殿はマスターの体で大暴れし、魔力切れを起こしたと？」
「…あぁ。その通りだ、父上」
主杯宅のとある一室。
そこにはあまりにも胃が縮まるような光景が繰り広げられていた。
柔らかそうなソファーに腰掛け、刺々しい口調で話すアルトリア。
そして彼女の前で跪き、恭しく頭を下げるモードレッド。
アルトリアははぁ、とこれみよがしにため息を着くと説教を始めた。
「別に貴殿のその気性を責める気はない。
その勇猛果敢と評すべきか、向こうみずな戦い方は我々円卓にも、マスターにも必要なものでしょうから」
「……」
「ですが。
我々、英霊の存在意義はマスターと共にあること。
マスターを守るべき存在が害を与えてどうするのか」
モードレッドは何も言葉を言わない。
主に仇なす者は不忠であり、罰せられるべきである。
自分は叛逆の騎士。
その在り方が、あのような結果をもたらしたのだろうか。
「……。しばらく、貴殿にはマスターの警護から離れてもらう」
「………。あぁ。異論はねぇよ、父上」
「それを持って貴殿への罰則としよう」
下がるが良い、モードレッド卿。
厳しい口調でアルトリアはモードレッドに退出を命じた。
モードレッドもそれに従い、今一度頭を下げると部屋から退出した。
「……はぁ…。マーリン、いい加減出てきたらどうです？」
「ありゃ、分かっていたのかい？」
部屋の何も無かった空間に、花が舞う。
一瞬の瞬きでそこには真っ白な装いに身を包んだ優男……マーリンが微笑んでいた。
「いやはや、君がモードレッド卿に説教してる時はヒヤヒヤしたよ」
「……私とて鬼ではありません。
あの者が反省していることくらい分かります」
「知っているとも！しっかし、君のことだから、もう少し厳しい罰則を彼女に与えるかと思っていたんだがね」
マーリンは顎に手を当て、わざとらしく悩み顔を浮かべた。
そんな彼にアルトリアは「ほう？」と不敵な笑みを浮かべた。
「貴方はあれが厳しくないと？」
英霊たちにとってAの警護というのは喉から手が出る程、やりたいものだ。
唯一愛し子と触れ合えるのだから。
マーリンはしばし黙った後、首を横に降った。
「私だったら絶対嫌だね、それは」
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きゅうり - 物凄く好きです。もう更新はなさらないんですか？ (4月5日 15時) (
レス) id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
シツ(プロフ) - 立てばイケメン喋れば残念戦う姿はバスターゴリラ(？)ガウェイン強いですよねー (2020年6月14日 19時) (レス) id: 0ba0375d27 (このIDを非表示/違反報告)
てひつる - りさこさん» コメントありがとうございます！第六特異点ほんとにキツかったです…。ありがとうフレンドのエウリュアレちゃん…。今後ともよろしくお願いします！ (2020年1月3日 18時) (レス) id: 59b0e3aa20 (このIDを非表示/違反報告)
てひつる - Yuki@萌え探求者さん» コメントありがとうございます！初見で面白いと思っていただけて本当に嬉しかったです…！更新は気まぐれになってしまいますが、気長にお待ちください！ (2020年1月3日 18時) (レス) id: 59b0e3aa20 (このIDを非表示/違反報告)
てひつる - とろけるチーズさん» コメントありがとうございます！お待たせしてしまって申し訳ないです…。ゆっくり自分のペースで更新していきたいと思うので、気長にお付き合いください！ (2020年1月3日 17時) (レス) id: 59b0e3aa20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てひつる | 作成日時：2018年3月11日 10時
