検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:620 hit

さーん。 ページ3









彼と隣になってから少ししてからのことだった。









昼休み、珍しく引きこもりの隣の彼が席を留守にしていた。


いつもそこに座っている彼に向かって言葉を投げかけ、それに答えてくれる彼が

いない。


ただある、机と椅子。


私の存在には特に目も留めず各々が好きなことをする昼休み。







昼休みが終われば帰って来ることはわかっていた









「どこ行ったんだよ」









それは「早く帰ってこい」だった、きっと。



















学生にとっては無残な、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。

生徒はいやいやながらも席に着く。

隣の彼も座る。

教科担任が来る。

教科書、ノート等の資料を用意する。




ちなみに一部始終私はずっと隣の彼を見ている。









「…………な…なんか用ですか?」









さすがに私の視線が気にかかったらしい隣の彼は不審者でも見るような目で質問する。


失敬な。









「珍しく君が昼休み席を外していたからどうしたのかと思ってていうかどこに行ったのかと思って?」

「………ぇ……」









私の早口に戸惑ったのか、単純に「こいつそろそろヤバイな」と思ったのかのどちらかはわからないけど隣の彼のちらりと見える目元は困惑を告げていた。









「………用事が、」









彼から今考えました的な感じに解答が絞り込まれた、わかったよもう触れないよその話には!!









「ふぅん」



















そしてその後も隣の彼は、「用事」だかで度々席を留守にした。



あの引きこもりがこんな外出に積極性を出すとはね。









「トイレ行ってこよ………」









欠伸交じりに立ち上がる。













用を足し、まだ時間はあるので散歩がてら一年の廊下を歩き、一階に下り、三年の廊下を歩く。









「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…はぁ」

「あれ、Aちゃん?」

「ふぁぁ…?」









一応注釈しておくけれど最後の返事はかわいこぶったわけではなく欠伸の延長線です、はい、私をそういうキャラだと思うなよ。おら。


どうやら知った誰かに話しかけられたようだけど、滲んだ目で誰なのかわからない。


でもあの声はきっと









「あまつきぱいせーん……」

よーん。→←にー。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いのありCONAイチゴ | 作成日時:2017年9月3日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。