【ヒューマンバグ大学】 『美しい華にも毒があるようで。』

■"EP.26 ページ28

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気付けば俺は、先程まで悶々と考えていた事なんて忘れて無我夢中で叫んでいた



はぁはぁ…と俺の息遣いが木霊する









「ぁ…」









まずい。


気持ちに任せて、つい勢いで言っちまった



言うつもりなんてなかった言葉も言ってしまった








我に返って、謝ろうとAの方を向いた瞬間、俺は目を見開くことになった。


Aの目から、大粒の涙が落ちていたからだ。








入門した時から、Aが包帯をとる所を見たこと無かったが、実は泣いているところも見たことがなかった。


自身の兄貴分を亡くそうが、相手にボコボコにされようがコイツが泣いてる姿なんて見た事なかった








「わ、悪い！
言いすぎた！
違うんだ…さっきのは…その…」



『ごめんねぇええええ！』



「ｯ!」









俺が謝ったと同時に、病室内にAの泣き声が響き渡った




まずい。

やっぱり言いすぎた！





俺が困惑しているのを他所に、子供のように泣きわめくA




これ、誰かに見られたら俺殺されるやつ？？







そう思った時、Aが口を開いた









『本当はね、ずっと皆に話したかった
もっと頼りたかった

でも、また軽蔑されたらどうしようって…
怖かった……。


幾ら組織の命令だったからって、肉親を殺した事実は変わらない
組織の言いように扱われてたのも心のどこかで分かってた

けど…従わなかったら今度は私が狙われる側だった


だから、ここ(天羽組)で華太や幸真に出会った時は、もうあの時と違って分かってたけど、やっぱり心のどこかで本当の私を知ったら軽蔑されるんじゃないかって…思ってた…


だから……』



「俺らが軽蔑する訳ないじゃん」



『「ｯ!」』









ふと、後ろからそんな声が聞こえ後ろを向くとそこには小林の兄貴がいた。









「俺らがそんな事で軽蔑するように思う？」



『思…わない…けど…！』



「じゃあ、いいじゃん
今も昔もお前のままでいれば」



『ｯ!』









どうすればAを傷つけないで済むかとか


どうやって言えばいいとか今はもうどうでも良かった










「退院したらさ、焼肉行こーぜ
冨樫の兄貴が奢ってくれるってさー」



『はは…退院後すぐに焼肉とかふざけてるよ』



「やっぱりお前笑ってた方がいいよ」



『え？なんて？』










ただ、Aが天羽組の一員として。


いや、一人の人間として俺たちは大切なんだ









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