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『渡辺さーん』


私が呼ぶと同時に部屋に入ってくる翔太。


さっくんが言ってた通りの表情。




私が部屋に入った時、
誰よりも驚いて、携帯まで落とした彼。




『画面、割れてなかった?』


渡「え?」


『携帯の画面、大丈夫?って』


渡「あ、ああ、大丈夫大丈夫」


『……ふっ』




平然を装うとしたのが間違いだったのかな。

ぎこちなさ過ぎる翔太を見て、
思わず笑ってしまう。




渡「笑うなっての」




ぐしゃっと私の頭を軽く撫でてくれる。

懐かしいな、この手。



渡「…じゃあ、宜しく」


『お任せください。いっちばん格好良くするね』


渡「ふはは、頼むわ」




いつもは髪の毛を触られていた側だったのに、


ドライヤー、なんて言いながら
泊まりに行った日はずっと。





今日は逆なんだよね。

これから先もずっと。





『翔太、』


渡「っ、な、なに?」



しまったと思った。
さっくんを渾名で呼ぶのとは訳が違う。



『あ、ごめ。渡辺さん』


言い直すと同時に掴まれる腕。


渡「なんで?」


『なんでって…』


渡「翔太って呼べよ」


『…でも』


渡「俺が、Aに呼ばれたい」








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作者名:ほたる | 作成日時:2021年6月15日 22時

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