「Yuki」2 (ページ16)

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ガチャっと出てきた翔太くんのシャツはボタンが止められてなくて、

「ちょ！」

普通そのまま出て来る！？

「ゆっくりで良かったのに！」

w「え？何が？…あー、そういうことか」

ぐいっと翔太くんに腕を引かれて、

バタンと音を立てて閉まるドア。

「しょ、」

w「恥ずかしがってんの？」

「ねえ、ボタン！」

片方しか自由のない私の腕で、
自分の目を覆って隠す。

w「Aが留めて」

「っ、はあ！？」

w「俺昨日Aの介抱してたら突き指してさあ」

「え、うそ！？」

思わず腕を取ってしまった先にあるのは翔太くんの顔で、

w「だからボタン、留めて？」

昨日の失態を持ち出されてしない訳にもいかない訳で、

そっと放された腕。

出来るだけ早く、見ないように翔太のシャツのボタンをとめて、

「は、はい！出来たから！」

w「ん、ありがと」

満足そうにする翔太くん。

私をドアの前からゆっくり退けて
そのままドアを開けようとした翔太くんに

「ねえ、指大丈夫？」

w「ん？あー、あれ嘘だから」

ニヤッと笑って出て行く翔太くんの後ろ姿を見送ってから、

騙されたことを理解する。

「さいっあく！！ばか！！！」

そう叫ぶ私の声を聞いて、
ドア越しから聞こえてくる翔太くんの笑い声に

恥ずかしさを覚えた。