「Yuki」2 (ページ11)

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飲み始めて数分後に
個室のドアがガラッと開いて姿をあわらしたふっか。

店員さんにいつも通り度数が低い甘い酒を頼んで、
空いていた照の隣の席にどさっと座る。

一瞬、Aとふっかの視線が合ったのは流石に見逃さない。

ふっかが遅れて来ると照に伝えてたA。

その時から少し違和感があって。

Aの表情の曇りがもしふっかに関係してるなら、
俺は黙ってられない。

とか強気に言ったところで、別にAの彼氏でもなんでもない俺に何も出来ないのがオチ。

もちろん、ふっかにだって。

ただ、Aがどんな想いを抱いているのかが全く分からないから、俺達はみんな、決定的な一歩を踏み出すことが出来ない。

こんなことを言うのもどうかと思うけど、

Aはふっかに似て人たらしなところがある。

もちろん悪い意味なんてなくて。

男女関係なく
誰にでも好かれて、

それでもって、その好意に気が付かない。

悪く言えば
タチの悪い女。

気付けよ、なんて分かりやすく行動に移したところで

彼奴が気付かないことも分かってる。

目黒から貰ったと聞いたピアス。

それが一番、その事実を物語ってる。

Aは目黒からの好意だなんて、

きっと思ってもいないから。

俺がやったところで同じ。

いつかの俺はAとどうこうなりたい訳では無いと思ってて、今もその気持ちが変わったわけでは無いけど、

もしチャンスがあるなら…

俺だって少しくらいは頑張っても良いよな？